テキスト分析に対応した唯一のソリューション
次に披露したのは、テキスト分析機能だ。Business Objectsが2007年7月に買収したテキスト分析技術ベンダInxight Softwareの技術をベースとする。
企業のデータの80%を占めるといわれるテキスト(非構造)情報が分析可能となることで、手が付けられていなかった大量のデータを分析できる。これは、事業執行の価値改善につながる。
具体的には、BIプラットフォーム上でテキスト分析技術からコンテキストに基づく分析を行う。たとえば、CRMシステムの中に眠っている顧客からのコメントを分析するデモでは、「Shelf Labels(棚用レーベル)」とあれば、「オフィスラプライヤ製品」「tear」を「オフィスサプライヤのビジネス用語」と単語ごとに分析、相関関係を見て、「The shelf labels tear too easily, and my customers return them」という文章を「製品の問題」と分析する。これにより、コメントをポジティブなもの、ネガティブなものと分類することができるようになる。
このようなテキスト分析ソリューションを提供するのは、Business ObjectsのみだとSchwarz氏は胸をはる。
SAPと共にGRCとFPMを連携
最後にSchwarz氏が紹介したのが、GRC(ガバナンス、リスク、コンプライアンス)分野だ。
財務部門では、資金、予算、測定、レポーティング、企業統治/規制遵守などの業務があるが、一貫した統合戦略がないためにシステムは可視化にかけ、連携が薄い。Business ObjectsとSAPが共同で提供する財務パフォーマンス管理(Financial Performance Management:FPM)ツールとGRCツールにより、プランニングデータ、追跡データ、事業データなどとリンクし、ばらばらなプロセスをシームレスなエンドツーエンドのプロセスに変える。
デモでは、目標、KPI、ビジネスプロセスフロー、リスクオーバービューなどが並ぶFPMのダッシュボードからリスクオーバービューのリスクヒートマップをクリックすることでGRCシステムに移行、リスクの種類、リスク分析と対応、戦略に沿った業務の最適化などを表示した。
また、上司が設定した目標から達成度を表示、クリックすることで内容と関連したイニシアティブを表示してみせたり、特定の目標に関する収益性をクリック、ドキュメントを含めさまざまなデータソースから収集した関連データによるKPI分析を表示するなどの操作を披露した。高いレベルでリスクを把握し、低いレベルで個々のオペレーションを見て、パラメータの変更やシュミレーションを行える。これまで別々のプラットフォームをベースとしていた機能を統合していくことで、包括的な財務管理が可能になったという。
Schwarz氏はSAPとBusiness Objectsの統合について、すでにSAPとBusiness Objectsを組み合わせている企業は数多くあり、合体のメリットを享受できると述べる。「SAPカンパニーとなったことで、SAPとともにビジネスネットワークを推進、新しいバリューを追加しながらコアとなるバリューを構築していく。ユーザー、情報、企業を結びつけ、ビジネスの動き方を変えていく」と目標を語った。