Business Objectsの製品は、企業情報管理(データ収集)、情報発見/配信(情報へのアクセス)、GRC(リスク管理とビジネスルールの設定)、企業パフォーマンス管理(戦略の実行を見るダッシュボードなどアプリケーション)などの分野をカバー、執行→洞察→戦略→意思決定とサイクルをまわすことができる。この下に「SAP Business Suite」などのSAPのビジネスプロセスプラットフォームを加えることで、モニタリング→プロセス調整→プロセス実行→イベントが加わった大きなサイクルが実現する。
SAPベースのインフラと合体すれば、理解、洞察、計画、管理などの土台となるバリューだけではなく、変化に応じて変更し、商機を見出すことが可能となる。さらには、拡張性もある。「クローズドループでの企業パフォーマンス最適化を可能にする」(Schwarz氏)
中でも、Business Objectsが最も得意とする企業パフォーマンス管理では、指標、スコアカード、ダッシュボードを利用して戦略が反映されているか、実行されているかを把握できる。Business Objectsの技術はデータ中立性を特徴とする。メタデータ構造を持つデータ部分では、SAPを含めあらゆるデータを利用できる。これにより、よりよい意思決定につなげられる包括的なポートフォリオを提供する。
ここでSchwarz氏はBusiness Objectsの導入事例として、フランス・パリ郊外にあるDisneyland Parisの例を紹介した。同社はオープン当初、集客数はあるのに収益性が低いという課題に悩まされた。その原因は「天候」。米カリフォルニアのDisneylandと比べるとパリは雨が多く、客はすぐにレストランに入る。
天候に合わせてリソースの配置が必要と判断した同社は、トラフィック追跡ポイントとして900カ所で売り上げ、客の列などを調べた。大規模な運行ダッシュボードを利用して、リアルタイムのデータで客の流れを把握、年/週などさまざまな比較をして売り上げのフローを探った。
これにより、スタッフの携帯電話に配置に関するSMSを送信、客の動きに合わせたリソースの配分が可能となった。モバイルソリューションは今後、顧客とのコミュニケーションに使うことも検討しているという。列が長いアトラクションで並んでいる顧客には、別のアトラクションを勧めるなどのことを考えているという。
この結果、Disneyland ParisはDisneylandの中でも2番目の高収益性となり、顧客満足度を高められたという。
「BIは単なるレポーティングではない。業務パフォーマンスの改善に結び付けることができる」とSchwarz氏は語る。