制約はあるが楽しいパンケーキレンズ
E-420と同時に発売されたパンケーキレンズ「25mm F2.8」はとても魅力的だ。パンケーキレンズは、その薄さ、コンパクトさによる機動力がメリット。レンズをボディに付けたままでも気にならず、そのままカバンの隙間に潜り込む。特にE-420のようにボディが小さなカメラでは、パンケーキのメリットもより活きてくる。また、開放F値がF2.8もあると、強いボケの絵も可能になる。
もちろんデメリットもある。その薄さのため、焦点距離の変わるズームレンズはまず無理で、固定焦点が前提となる。たとえばペンタックスは多くのパンケーキレンズを販売しているが、すべて単焦点レンズだ。もうひとつの難点は、光学的に設計が苦しくなること。単焦点レンズであれば歪曲収差をほとんど出さないように設計できるが、パンケーキは単焦点であっても歪曲しやすくなる傾向がある。
それでもパンケーキレンズは楽しい。カメラにとって、小型というキーワードは何にも代えがたい魅力なのだ。そう考えるユーザーが多いのか、「25mm F2.8」は大変な品不足だという。もちろんE-420ユーザーだけでなく、ほかのオリンパス ユーザーもこのレンズを買い求めているのだろう。以下、25mmパンケーキと標準レンズの14-42mmを比べてみた。
開放から少し絞り込んだところで高い解像感
25mmパンケーキの歪曲はそこそこ発生する。以下の写真はブロック塀を正面から撮影したものだが、焦点距離を25mmに合わせた14-42mmよりも25mmパンケーキのほうが少しばかり強く歪曲した。ただ、周辺の像の流れなどは25mmパンケーキのほうが若干少ないようだ。
解像度は絞り開放で撮影していることもあるが、両者でずいぶん違う結果になった。14-42mmは非常にシャープで、解像力は1,800TV本強といったところ。シャープネスが強く、限界近くでは偽色も発生している。対して25mmではずいぶんゆるい像だ。コントラストが緩く、エッジも溶けたようになっている。1,800TV本近くまで解像していると見えなくもないが、判別しづらい。
下の写真は25mmの焦点距離で、絞りを変えて遠い風景を撮影したもの。解放F値が異なるため、もっとも開けた状態では14-42mmがF4.7、25mmパンケーキがF2.8となっているが、それ以外はF5.6、F11、F22でそろえている。一般にレンズは開放から少し絞ったところがもっともシャープに描写されると言われている。これは14-42mm、25mmパンケーキともに当てはまり、どちらもF5.6あたりがもっともシャープな像になっている。
しかし全体に25mmパンケーキのほうが描写は上だ。特にもっとも画像がシャープになるF5.6あたりでは、立体感さえ増してくるようだ。逆にいえば、25mmパンケーキは描写の変化が激しいともいえる。開放では厳しいところもあるが、ツボにハマれば標準レンズよりはるかに気持ちいい画像になる。このレンズはおもしろい。
ついでながら、歪曲以外の収差はほとんど気にならなかった。元々フォーサーズは周辺落ちが少ないのが特長のひとつだが、25mmパンケーキでも周辺の光量落ちはもちろん、像の流れなども見られなかった。