文化庁は23日、「平泉-浄土思想を基調とする文化的景観」について、世界文化遺産を審査する国際記念物遺跡会議(以下、イコモス)から「記載延期」と勧告を受けたことを発表した。

政府は中尊寺や毛越寺、金鶏山など計9資産を含む範囲を世界遺産として、ユネスコに記載推薦書を提出。2001年4月に日本の世界遺産暫定一覧表に記載、2007年8月にはイコモスが派遣した専門家による現地調査が行われた。

今回イコモスが指摘した内容としては、浄土真宗と資産の関連性について、世界遺産にふさわしい「顕著な普遍的価値」が十分に証明しきれていないことや、推薦資産範囲の再検討などが含まれている。

今回の件について中尊寺のある平泉町は「2005年から景観条例を取り入れて、町全体を挙げて世界遺産登録に向けて取り組んできました。今回のことは残念ですが、石見銀山の例もありますので、文化庁と連携して世界遺産委員会に働きかけていきたいと思います」と語る。また岩手県庁は「今回指摘を受けた点は、今まで述べてきた点について、視点を替えて説明することで対応していくつもりです。浄土真宗と資産の関連性をより明確化することで、世界遺産登録へ一歩ずつ邁進します」としている。

今後は、7月2日からカナダで行われる世界遺産委員会において、世界遺産への記載可否を決定する予定。2007年の石見銀山のように、イコモスから「記載延期」の勧告を受けながらも逆転した例もあることから、今後の平泉の世界遺産登録の可否を、期待を持ちながら見守りたいところだ。