ウィル・フェレルという"天才"を知っているか
ウィル・フェレルをご存じだろうか。俳優にしてコメディアン、アメリカでの人気はそれはものすごい。しかし残念ながら日本での知名度はあまり高くない。もう枕の端をキリキリ噛みたくなるほど遺憾である。だって本当におもしろいから!
1967年7月16日カリフォルニア州出身の40歳。身長192センチの偉丈夫である。ニックネームはかわいく"ウィルフ(Wilf)"。1990年に南カリフォルニア大学を卒業後、L.Aで活躍するコメディ集団「The Groundlings」に参加。コメディアンとしてテレビ番組に出演するようになる。
そして1995年。28歳のときにNBCのバラエティ「Saturday Night Live(SNL)」に起用される。1975年のスタート以来、テレビ王国アメリカで最も長く放送されている番組の一つであり、国民的人気を誇るこの「SNL」に出演するということは、国民的スターへの道を確約されたと言っても過言ではない。ウィルはブッシュ大統領を真似たパフォーマンス(確かに2人ともゴリラ顔だ)などで人気を博し、2001年には歴代の出演者の中で最高額のギャラが支払われたという。プロデューサーたちはそれほどウィルを手放したくなかったのだ。SNLでのウィルのネタはこちらで見ることができる。
2002年、惜しまれながらもSNLを卒業した後は映画俳優一本道。『プロデューサーズ』(2005)、『主人公は僕だった』(2006)をはじめ、日本では未公開の作品にも多数出演するも、爆発的ヒットにはなかなか繋がらない……。そこに転機が訪れる。
運命のおバカ作品との出会い
2007年3月30日に本国公開された『俺たちフィギュアスケーター』(原題:BLADES OF GLORY)は初週、翌週ともに週末興行収入ランキング1位を獲得。上映終了までに米国内だけで累計1億1,859万ドルという数字を叩き出したのだ。
暑苦しくアダルティな演技で女性人気抜群のチャズ(ウィル・フェレル)と、その才を見込まれて英才教育を受けてきたジミー(ジョン・ヘダー)。2人は人気を二分するスター選手だったが、表彰式で乱闘騒ぎを起こし、フィギュア界を追放されてしまう。
3年後。チャズは酒浸りになりながら子供向けのアイスショーの端役で日銭を稼ぎ、ジミーはスケート用品店で働く毎日。もう一度フィギュアでスポットライトを浴びたい……そんな願いを抱きながら。ある日ジミーは気付く。「シングルはダメだけど、ペアなら違反しないんじゃね?」――そう、確かに協会から禁じられているのはあくまでも「男子シングルへの復帰」。ジミーはペアの相手探しに奔走する。
しかし、ことはそう上手く運ばない。大会までに日がないのだ。誰も誘いに乗ってくれない。もうダメかも……そう思ったとき、ジミーはチャズに再会。ジミーのかつてのコーチはまたしても乱闘騒ぎを起こした2人の動きを見て、やけに息の合ったケンカっぷりにペアの才能を嗅ぎ取る。ここに史上初、フィギュアスケートの男子ペアが誕生したのであった。
破天荒なストーリー展開だが、そこはさすがドリームワークス。きっちり作り込んであり、極上のエンタテインメント作品に仕上がっている。設定の段階からゲイネタがおなかいっぱい詰め込んであり、ピッチリしたコスチュームを着た男2人が銀盤上で繰り出す技はただもう手放しに笑える。
選手権で優勝をもぎ取るためにある大技に挑むのだが、これが失敗するとパートナーの首を刎ねてしまうという超危険なモノ。ちょっと漫☆画太郎の『地獄甲子園』に通ずるスピリットを感じてしまった。実は編集部のデスクでヘッドフォンを着けて鑑賞したのだが、笑いをこらえることができず、しまいには働く同僚を尻目に1人爆笑してしまった。23日にDVDが発売されるので、腹の底から笑いたい人は是非ご覧いただきたい。
フィギュアの次はバスケットボール…もちろん普通じゃないけどな!
海外のコメディ映画は日本では劇場公開をすっ飛ばしてにDVD化(DVDスルー)されてしまう作品が多い。『俺たちフィギュアスケーター』もDVDスルーされてしまいそうだったがギャガ・コミュニケーションズが目をつけ、小さめの劇場で上映し結果的に大ヒットとなった。もう、ウィル・フェレル作品がDVDスルーの憂き目に遭うことはないだろう。嬉しい限りだ。
そして早くも次回作が8月に公開される。その名も『俺たちダンクシューター』(原題 : Semi-Pro)!
何も言わずにまずここでトレーラーを見ていただきたい。
1970年代のアメリカにはNBAとABA(American Basketball Association)という2大バスケットボール・リーグが併存していた。NBAが競技性や勝敗を重視するリーグなら、ABAは"魅せてなんぼ"のエンタメリーグ。かつて、「Love Me Sexy」という曲でヒットを飛ばした一発屋ミュージシャン、ジャッキー・ムーン(ウィル・フェレル)は、その印税でABA最下位のチーム「フリント・トロピックス」を買収。目立ちたがり屋のジャッキーはオーナー、コーチ、選手を兼任して試合に出るも、あまりにお粗末な試合内容に観客は離れる一方……。
そこに降って沸いたNBAによるABA買収話。しかし、移籍できるのは上位4チームのみで、それ以下は解散を余儀なくされるという。ジャッキーはこの危機を打開するため、元NBAの補欠選手モニックス(ウディ・ハレルソン)、唯一のスター選手クラレンス(アンドレ・ベンジャミン)らとドリーム・チームを結成。「チーム愛」を合い言葉に生き残り大作戦が始まる!
試合中、相手をスリッパで殴ったりヒジテツを入れたり、試合のめちゃめちゃっぷりは言うまでもないが、ちょこちょこ挟まれる小ネタが秀逸だ。笑いのテンポが日本人好みなんじゃないかと思う。
『俺たちダンクシューター』は8月、渋谷シネマGAGA!ほかにて全国順次公開される。この夏はウィル・フェレルで暑苦しく盛り上がってみないか!
意味もなく全裸(毛むくじゃらはデフォルト)。あ、ソックスは穿いてるね |
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