WiMAXフォーラム日本オフィスは21日、モバイルWiMAXに携わる関係者や報道関係者向けのセミナーを開催した。セミナーでは、インテル研究開発本部の主幹研究員でWiMAXフォーラム日本オフィス副代表を務める庄納崇氏と、UQコミュニケーションズ マーケティング戦略部長の坂口肇氏らが出席し、講演を行った。
庄納氏はセミナー冒頭で、WiMAX商用サービスに関する最新の動向を紹介した。固定WiMAXを中心に世界で260の商用サービスが展開されており、グローバルローミングについても、ほぼ仕様が固まりつつある状況になっているという。また、モバイルWiMAXではWave1と呼ばれる仕様においては既に8つの製品が認定されているが、本年度中に100の製品、2012年度には430製品が認定を受ける見込みだという。また、日本の2.5GHz帯についての説明もあり、スマートアンテナ技術などを追加したWave2と呼ばれる仕様を満たす認定製品が間もなくアナウンスされると語った。
続いて登壇したUQコミュニケーションズの坂口氏がは、「UQコミュニケーションズによるWiMAXサービス」と題し、同社の事業展開、サービス展開のほか、同社が目指すワイヤレスブロードバンドのあり方などについて説明した。
坂口氏は、同社は「モバイルWiMAXという技術を使って、日本全国でサービスを行う唯一の企業」であるとアピール。会社設立の経緯を「元々はKDDIのひとつの事業部としてモバイルWiMAXに取り組んでいたが、3G(第3世代携帯電話)事業者単独での参入は不可という方針の発表があり、『ワイヤレスブロードバンド企画株式会社』として設立した」と説明。
総務省から3G事業者単独での参入不可という方針が出された際の所感については「最初は落胆したが、『1/3規制でやるってことは、新しいビジネスができるのではないか? いろいろなパートナーと組むことでよりよいサービスができるのでは?』とプラスに捉えた」(坂口氏)と述べた。
また、社名の由来についても説明があった。"UQ"は、ユビキタス(Ubiquitous)やユニバーサルクオリティ(Universal Quality)の意味、会社が末永く続くようにという意味を込めて漢字の"悠久"という意味も込めているという。
商用サービスは、来年夏に人口カバー率50%超で開始する予定。2009年末には政令指定都市および一部の県庁所在地にサービスエリアを広げ、2010年度末には人口カバー率70%超、2012年度末には同90%超を実現し、1,161市町村での利用を可能にするとしている。基地局数については、商用サービス開始の段階では約4,000局、2010年度には約14,000局、2013年度には約18,500局を目指すという。
エリア展開を急ぐ理由としては、「エリアを早く作らないとビジネスにならない。どこでも使えて当たり前。最後発で出て行く以上、キャッチアップしなければ、お客様の満足度につながらない」(坂口氏)とした。
サービス展開計画としては、ノートPCでのモバイルインターネットユーザーや、ADSLなど固定インターネットのユーザー向けに、まずはデータ通信カードなどを用意するという。これに加えて、UMPCやMIDなどと呼ばれるの小型のインターネットデバイスの提供を行うとしている。
次世代PHSと比較した際の利点としては、受信最大通信速度が40Mbpsと高速かつ、ベンダーの数と対応機器の種類の面で利点があるとしている。サービス開始時に用意される予定のデータ通信カードについては、実効速度が最大20Mbpsくらいになる予定だという。
また、LTEと比べて際の利点についても語られた。LTE は、100Mbps以上の高速通信が可能だとしているが、100Mbpsの通信速度は広い周波数帯域を使った時に実現できる数値のため、他社がLTEのサービスを開始した時点では、速度についてはモバイルWiMAXと大差ないか、むしろLTEのほうが若干遅いくらいだと想定しており、LTEが有利な状況はもう少し先だと考えているという。それまでに技術革新で対抗するとしている。大きな利点としては、モバイルWiMAXのほうがサービス開始時期が早いため、エリアの展開などで「2年から3年くらいはアドバンテージがある」点を挙げた。
加えて、データ通信に特化したネットワークを構築することを特徴として挙げている。LTEは音声通話のサービスをベースとしているので、データ通信という面では、モバイルWiMAXのほうが使いやすい状況を作れるのではと考えているという。