"エコロジー"という言葉はどのメーカーも掲げているが、では次世代のクルマはというと、なかなか見えてこないのが現実だ。「人とくるまのテクノロジー展」で見かけたディーゼル以外のエコ関連展示をまとめてみた。
電気自動車は水面下で開発中?
一時話題だったハイブリッドや燃料電池の話題ははひと段落したようだ。もちろん各メーカーとも開発は続けているはずだが、まだ展示する段階にないということか。
トヨタのブースは家庭用電源から充電できる「プライグイン ハイブリッド」を展示。というか、展示はこれだけ。少々乱暴な感じも受けるが、中途半端に開発中の技術を見せないところなどトヨタらしいといえばトヨタらしい。
三菱自動車は、最近の展示会の常連ともいえる「i MiEV」を出品。各電力会社と共同研究を進めている。技術的には十分なところまで来ているが、電気自動車はインフラやコストという大きな壁が控えている。次の段階が見えそうで見えない。
ヤマハのブースでは東京モーターショーでも展示された燃料電池バイク「FC-Dii」や「FC-AQEL」が置かれていた。FC-Diiはメタノール水溶液を燃料としたもので、サイズやパワーは50ccクラス相当。FC-AQELは圧縮水素を燃料としており、こちらは125ccクラスに相当するという。実現がいつになるかはわからないが、毎年少しずつ進化した燃料電池車を見せてくれるヤマハの姿勢は評価したい。
燃費を良くする技術をまとめて展示
会場の一画には、特別企画として「燃費をよくする最新技術」という共通展示コーナーが設けられていた。基本的には各メーカーの最新技術ではなく、すでに実用化されているエンジンなどを一同に並べるというスタイルだが、これはこれで興味深かった。
ホンダの50ccビジネスバイク「スーパーカブ」は昨年夏にインジェクション化された。しかしインジェクションの採用だけでなく、エンジン内部のフリクション(摩擦抵抗)なども徹底的に軽減されたという。もともと馬力の少ないエンジンだけに、パワーロスは大きな問題なのだろう。
マツダからは昨年デミオに搭載され、好評を得ているミラーサイクルエンジンが出品された。圧縮行程で吸気バルブを閉じるタイミングをコントロールすることで、圧縮比に比べ膨張比を高める機構。熱効率を高め、ポンピングロス(吸気抵抗)を減らす働きがある。このエンジンを搭載したデミオは、10・15モードで23.0km/Lを達成している。
ホンダのインスパイアに搭載された気筒休止システム「VCM」も展示されていた。これは6気筒のうち、走行状況に応じて2~3気筒を休止させるシステム。レギュラーガソリン仕様の3.5Lエンジンながら、206kW(280ps)の高出力と低燃費を両立している。
今回、個人的に注目していたのは"軽量化"だった。クルマの軽量化は、燃費向上はもちろん、タイヤをはじめとした各パーツに対する負担が減るし、道路へのダメージも少なくなる。トータルではかなりの資源節約につながるはずだ。なにより、もし事故を起しても対攻撃性が下がるというメリットがある。だいたい、4~5人乗りの乗用車が1.5トンもあるのは重すぎるのではないか。
しかし、今回のテクノロジー展ではなかなかいい展示が見つからなかった。部品メーカーレベルではいくつか軽量化を謳った出品も見られたが、まだ大きな潮流にはなっていないようだ。多少コストが上がっても、クルマを軽くすべき時代に来ていると思うのだが。