ARM9コアを2つ搭載したLSI
東芝は、車載ハンズフリーLSIやインパネ画像表示用システムLSIなど半導体デバイスを中心に展示を行っている。
車載ハンズフリーLSIは、カーオーディオやカーナビなどの車載機器向けにEDR規格に準拠したデバイスで、音声処理用に最高動作周波数208MHzのARM9コアを2個搭載したBluetoothベースバンドLSIとBluetooth RF ICの2製品から構成される。いずれも130nmプロセスを採用して製造されている。
ARM9コアを2つ搭載することにより、Bluetooth通信と音声合成や音声認識の機能を効率良く処理することを可能とした。また、RF ICは-90dBmの受信感度をRF CMOSで実現している。
なお、同社では、同製品の前世代品(ARM9コアが1つ)のベースバンドLSIとRF ICを1チップ化して部品点数の削減を実現する製品の開発を進めているとしているが、具体的なスケジュールは未定としている。
一方、インパネ画像表示用システムLSIは、メータやリアモニタ、カーナビなど、複数の画像をインパネに表示するために開発されたLSI。CPUとグラフィックコントローラを1チップに搭載したことにより、部品点数の削減とコストダウンを実現している。
CPUコアは240MHzで動作する64ビット RISCコア「TX49/H3」を採用、外部メモリは512MBまでのDDRSDRAMに対応する。また、24ビットカラー、4レイヤ、1600万色の表示に対応、ドット単位のαブレンディング機能により高品位の表示が可能としている。
車載向け有機ELシステムも展示
エプソングループでは、車載向け有機ELシステムの参考出展や、水晶を用いたMEMSセンサ「QMEMSセンサ」、車載ディスプレイコントローラ、音声認識LSIなどの展示が行われている。車載向け有機ELシステムのサイズは8型で、輝度半減寿命は5万時間としている。
QMEMSセンサは、高安定、高精度などの特性を持つ水晶素材「QUARTZ」を用いたMEMSセンサで、水晶素材にフォトリソ加工を行うことで製造を行っている。現在、ジャイロセンサの提供が行われているほか、ゼロ点の安定性を実現した加速度センサ、および高精度・高分解能などを実現した高精度圧力センサの開発が進められている。 車載ディスプレイコントローラ「S2D13515」は、独自の32ビットRISC CPUおよび関連するアクセラレータブロックを組み込んでおり、ヘッドアップディスプレイ(HUD)やコンソール、インパネといったコックピット周辺表示装置の制御のためのさまざまな機能を搭載している。
音声認識LSIは、ノイズ環境下の認識率の向上のため、ノイズキャンセラを搭載しているほか、独自の音声認識エンジンや自社製アナログとしてのA/DコンバータおよびD/Aコンバータなどが搭載されている。
サポート言語は日本語および英語。搭載可能ワード数は50~100ワード程度で、インタフェースはシリアルI/Fとなっている。
測定、キャリブレーション、診断のための総合ツール
ベクター・ジャパンのブースでは、ソフトウェア・アーキテクチャとインタフェースの定義などを行う「AUTOSAR」の活動、および次世代車載ネットワーク「FlexRay」への取り組みを紹介しているほか、同社の測定、キャリブレーション、診断のための総合ツール「CANape」を用いたデモ、昨日発表した車載用データロガー「GL1000」の展示などを行っている。
CANapeは、CAN/LIN/FlexRayの測定データを取得するだけではなく、ECUへの測定適合が可能なほか、測定時の周辺環境としてGPSデータやアナログ、音声、映像の測定が可能なツール。
CANapeを用いたデモでは、TheMathWorksの「MATLAB/Simulink」で作ったモデルから実際の組み込みコードを作成し、これをマイコンに組み込むことで、ロボットのギア切り替えや回転速度の制御を行っていた。通信プロトコルとしてXCP(eXplicit Control Protocol)を用いており、ロボット側のデータを制御PC側でリアルタイムで受け取ることが可能となっている。