総務省は19日、携帯電話・PHS事業者6社に対して、自社の通信網を持たない移動体通信事業者であるMVNO(仮想移動体通信事業者)に回線を提供する際の標準的な条件・料金を公表し、相談・対応窓口を一本化するよう要請した。回線を卸売提供する際の条件を明確にすることで、日本におけるMVNOの参入促進を狙う。
要請を受けたのは、携帯電話事業者のNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイル4社と、PHS事業者のウィルコム、2009年にモバイルWiMAXサービスを提供開始する予定のUQコミュニケーションズ。
総務省は、昨年9月に公表された「モバイルビジネス活性化プラン」に基づき、「MVNOに係る電気通信事業法および電波法の適用に関するガイドライン」の改定を19日に行った。
この改定では、MNO(自社の携帯電話網を保持する事業者)はMVNO(回線を借り受ける側)に向けた標準プラン(標準的なケースを想定した卸売料金その他の提供条件)を策定することが望ましい、MVNOに関する一元的な窓口を公開し、一般的な事務処理手続を公表するなど、MVNOとの協議を適正かつ円滑に行う体制を整備することが望ましいといった内容をガイドラインに盛り込んだ。今回の要請は、ガイドラインの具体的な実行を各通信事業者に求めた形となる。
回線借り受け条件が明確化されることにより、MVNOが事業計画を立てやすくなる。日本におけるMVNOとしての通信業界への参入障壁を引き下げることで、より健全な市場競争を促進することを狙う。
MVNOによる通信サービスの提供は欧米では盛んにおこなわれており、KDDIもアメリカではMVNOとして携帯電話サービス「KDDI Mobile」を提供している。日本では日本通信がウィルコムのPHS網を借り受けてデータ通信サービスを提供してきたほか、携帯電話においてもHSDPAデータ通信を中心にIIJ、@nifty、BIGLOBE、アッカ・ネットワークスなどがイー・モバイルやNTTドコモの回線を借り受けて参入する動きがみられていた。2.5GHz帯を利用してサービスを提供するモバイルWiMAXおよび次世代PHSの事業においては、当初よりMVNOへの設備解放が求められている。
(吉川英一/K-MAX)