アップルが発売したiPod touchは本来「デジタルオーディオプレーヤ」という位置付けの製品ですが、無線LAN機能を装備しており、インターネットに接続可能なモバイル端末としても利用できます。特筆すべきはその独特なユーザーインタフェースで、しかも性能、操作性などにおいて他のモバイル端末のブラウザよりも飛躍的に進化したブラウザ「Safari」を標準搭載しています。
しかし、そんなiPod touchでもさすがに万能とはいかず、いくつかの弱点もあります。その弱点の内の1つが「Flashを再生できない」という点です。実際にiPod touchでニコニコ動画にアクセスしてみると、掲載した画面写真のように動画部分が白く表示されてしまいます。
このため、ニコニコ動画(SP1)の動画を再生できず、多くの人が不満を持っていると思います。
そんな状況で筆者が開発したのが、本稿で紹介する「mmNicoβ」(iPod touchでアクセスする必要がある)と「mmNicoβキャッシュサービス(以下mmNicoβcs)」です。
mmNicoβは、iPod touchでニコニコ動画を見たい人向けに公開しているiPod touch向けWebアプリです。そしてmmNicoβcsは、mmNicoβの補助ツールとして利用することで、iPod touchの操作のみでニコニコ動画の取得 / 再生を可能とするためのWebアプリ(PHPスクリプトとして提供)となっています。
開発の経緯
「そろそろiPhoneの公式SDKが公開されるかも……?」という期待が膨らんでいた2008年2月中旬頃、ネット上では「iPhoneにFlashが搭載されるかも?」という噂が流れていました。前々からFlashへの要望、期待感は大きかったため、「いよいよくるか……!」と、誰もが考えていたと思います。そんな中で筆者は、
「Flashが搭載されるなら、iPod touchでニコニコ動画を再生できるようになるかも……」と考え、「iPod touchで動画を探しやすくするための窓口的なWebアプリがあると便利だし、どうせなら自分で作ってみるか!」という思いから、mmNicoβを開発してみました。
しかし、mmNicoβリリース直後も一抹の不安がありました。
- もしもFlashに対応しなかったら?
- Flash対応されても、ニコニコ動画を見られなかったら?
これらの不安が的中してしまうと、mmNicoβの存在意義はほとんどなくなってしまいます。そういった事態に備えて、「iPod touchのみで直接ニコニコ動画を閲覧できないだろうか?」という検討を行うことにしました。
その結果として生まれたのが「mmNicoβcs」です。この辺りの経緯の詳細は、開発者ブログに記しています。興味のある方はご覧ください。
「mmNicoβ」「mmNicoβcs」の仕組み
mmNicoβはiPod touchでアクセスするだけで誰でも利用できますが、mmNicoβcsの仕組みは、結果的に少々難しいものとなってしまいました。その概要図を示します。
「mmNicoβ」「mmNicoβキャッシュサービス」(mmNicoβcs)概要図
mmNicoβはiPod touchでインターネットに接続できる環境があれば誰でも利用可能ですが、mmNicoβcsは特殊な環境構築が必要となります。