パイオニアは9日、ポータブル形状のエアーナビ「AVIC-T10」とサイバーナビ「AVIC-VH9000/ZH9000/H9000」の3機種などの発表会を開催した。AVIC-T10は標準で通信機能を搭載し、渋滞情報など同社がサイバーナビや楽ナビシリーズで蓄積するプローブ情報も利用できる。サイバーナビ3機種には通信手段として新たにウィルコムの端末と定額プランが追加されたほか、情報送受信サービスのスマートループ参加者には3年間の地図無償アップデートサービスが提供される。

パイオニア初のポータブルナビ エアーナビ「AVIC-T10」

エアーナビ「AVIC-T10」。操作は十字キーではなく左部に用意されたダイヤルで行う。小型機ということもあってレスポンスはそれほどよくはない

エアーナビ「AVIC-T10」はパイオニア初となるポータブルナビで、地図情報は内蔵の4GBメモリに収録する。価格はオープンプライスで、市場予想価格は6~7万円の見込み。同日発表されたパイオニアとインクリメントP、ボーダフォンの3社によって設立された「ナビポータル」のサービスに対応し、カーナビサイト、PCサイト、携帯サイトの各ポータルサイトを連携したサービスを利用できるほか、サイバーナビや楽ナビによって収集されたスマートループ情報にも対応し、渋滞情報や駐車場情報などのプローブ情報に対応する。なお、ガソリンスタンド検索時にはe燃費の情報を元に安価なガソリンスタンドを指定して検索する機能も持つ。通信方式はHSDPA/W-CDMAで、通信料金は規約手数料無料、月額1,029円が基本で、パケット料金は1パケット0.084円の従量制となるが、上限は2,079円の2段階定額制となる。

エアーナビを背面から見た。通信モジュールは外側に突き出た部分に収納し、本来にケーブルで接続される。端子はUSBのようだ

エアーナビ背面。中央にはクレードル用端子がみえる。また、通信モジュール左上には外部アンテナ端子も用意される。外部アンテナの価格などは未定

ハードウェアとしてはタッチパネル機能付きの5.8型液晶を備えるほか、本体内にジャイロと加速度センサーを備え、トンネルなどのGPS電波が届かない場所でも自律航法が可能。また、オプションでクルマの車速センサーからの信号を入力する「RD-030」も用意され、測位精度を向上できる。RD-030の価格や発売時期は未定。ワンセグチューナーと収納式ロッドアンテナを備え、SDカードに記録されたMP3やAAC、WMAなどの音楽再生機能も持つ。ナビゲーション中の音楽再生も可能。また、携帯電話ハンズフリー接続用にBluetooth機能も搭載する。

パイオニアでは2002年にも市販市場で世界初となる、テレマティクス(移動体によるを採用した通信モジュール内蔵型カーナビ「AVIC-T1」を発売したが、通信インフラが未成熟だったため成功には至らなかった。しかし、現在では、通信インフラが整いPCや携帯電話から高速にネットにアクセスが可能になったこと、コンテンツや広告配信ビジネスが拡大したことなどから、新しい価値が提案でき、市場で新規の需要が掘り起こせるとした。

サイバーナビはフルモデルチェンジ

サイバーナビ「AVIC-VH9000」

サイバーナビ「AVIC-ZH9000」

サイバーナビは、1DIN+1DINのインダッシュメインユニット「AVIC-VH9000」(37万8,000円)、2DINインダッシュメインユニット「AVIC-ZH9000」(同35万7,000円)、1DINのナビ本体のみ「AVIC-H9000」(同18万9,000円)の3モデルが用意され、カーナビ機能、AV機能の双方が強化された。カーナビ機能では、ジャンルなどをあらかじめ指定しなくても任意のキーワードを複数入力するだけで検索が可能な「マルチ検索」機能が追加された。キーワード入力時には予測変換が行われるほか、過去に検索したキーワードが優先的に表示される機能も持つ。また、街中を3DCGで表現するソリッドシティデータを使用した交差点案内表示を強化、表示エリアが従来の約3倍程度に拡充されたほか、スマートループにより駐車場の時間帯別混雑予測表示も可能になった。カーナビゲーションのキモとなる地図データは、同時にスマートループに参加し、データをアップロードしたユーザーを対象に3年間最新地図データを提供する。スマートループサービス接続用には、これまでの携帯電話での接続に加え、新たにウィルコムのデータ通信モジュールに対応、月額1050円の固定料金でプローブ情報の利用が可能になった。なお、データ通信モジュールは従来モデル用も用意される。

メインメニューに用意されたマルチ検索

予測変換機能や、前回検索単語表示機能も搭載される

3D表示によるソリッドシティガイドモード

サイバーナビ付属のステアリングリモコン

固定料金でスマートループを利用できるウィルコムのデータ通信モジュール

スマートループの情報を元に、ユーザーが自らの運転にレビューやブログを書ける「スマートループドライブレポート」や、それらの情報をポイント換算して後に活用できる「スマートループドライブマイレージ」の導入も検討されているという。

また、AV機能も強化され、これまでの音楽データだけでなく、PC内に保存したMPEG4やH.264映像などを付属のBeatJamでDivX形式に変換し、HDDに保存できる。4基のチューナーとアンテナを組み合わせた独自の4×4地デジチューナーも一新され、走行中に見ている放送局のエリアを越えた場合でも、次に受信した同系列局の放送局を自動的に選択する「オート放送局サーチ」や、視聴中の番組を10分間記録可能なタイムシフト機能を備え、見逃したシーン戻って視聴ができる。

自宅でPC接続時に利用するリビングキットも一新され、地図更新や、音楽・映像データ転送などを全てPCとUSBケーブルで接続する形態に改められた。PC接続時には、給油量と燃料単価を入力することで、ナビのルート検索時に概算燃料費を表示する機能が搭載された。

なお、オプションで新たにフロントカメラとバックカメラが用意され、車庫入れ時にクルマを真上から見たハイアングルモードが表示できるようになった。広角カメラ特有の歪みはサイバーナビ本体内で処理することで、カメラの価格を各22,050円と安価に抑えたという。カメラには190度の超広角レンズを搭載する。

AVIC-VH9000のブレインユニット収納部

AVIC-ZH9000のブレインユニット収納部

ブレインユニット自体はコンパクト

自宅PC用のクレードル「リビングキット」が付属する

新アプションのフロントカメラ/バックカメラ。従来より安価になった