ここ数年の日本映画を観ていると、3本に1本くらいの割合で見かける俳優がいる。いや、映画だけじゃない。TVドラマやCMなどで見かけては、「あれ、この人また出てる……」と思うこともしばしばだ。
彼の名前は、光石研。1978年に公開された『博多っ子純情』でデビュー作ながら主役を演じ、70年代を中心に傑作を生み出してきた鬼才・曾根中生監督をして「彼は天才的、いや天才的じゃまずいね、天才というよりほかない」といわしめた日本映画界の名俳優だ。その彼の30年の映画人生を振り返り、祝福する映画祭「30周年 俳優・光石研~祝宴7デイズ」が、5月17日から1週間、東京・渋谷のユーロスペースで開催される。
イベントに先駆けて、ユーロスペースをはじめ都内各地の映画館で配布されているチラシには、光石研の俳優生活30周年に寄せられたお祝いコメントが所狭しと掲載されている。コメントを寄せているのは、浅野忠信、井筒和幸、岩井俊二、大杉漣、周防正行、田中要次、塚本晋也、宮崎あおい、桃井かおり、役所広司……、といった豪華面々。誰もが光石研のためならと依頼を快諾したこともあり、バラエティに富んだコメントが並んでいる。
彼が、これまでに出演した映画は130本以上にも及ぶ。特に、ここ数年は年間10本を軽く超えるハイペースで映画に出演し続け、最近では映画『めがね』や『Sweet Rain 死神の精度』などに出演。今後は、『パークアンドラブホテル』、『ぐるりのこと。』『DIVE!!』『TO THE FUTURE』『悪夢探偵2』『20世紀少年』といった作品が公開を控えている。
今回の映画祭では、膨大なフィルモグラフィの中から、彼自身がセレクトした作品が一挙上映される。期間中は光石研本人も来場し、トークショーも開催される予定だ。さらには、映画監督や俳優の先輩後輩など、多数のゲストも来場する。
上映スケジュール
日程 | 作品名 | 監督 |
---|---|---|
5月17日 | 『博多っ子純情』 | 曾根中生 |
5月18日 | 『ハッシュ!』 | 橋口亮輔 |
5月19日 | 『BORDER LINE』 | 李相日 |
5月20日 | 『エロス番長~ユダ』 | 瀬々敬久 |
5月21日 | 短篇&レア作品上映デー | うち『刑事まつり リハビリ刑事』は大森南朋 |
5月22日 | 『colors』 | 柿本ケンサク |
5月23日 | 『Helpless』『海流から遠く離れて』 | 青山真治 |
光石研17歳の時のデビュー作『博多っ子純情』。ビデオ化はされているものの置いてあるレンタル店は少なく、DVDは未発売。久々の劇場公開となる今回の目玉作品の1つだ |
『ハッシュ!』は、リリー・フランキー主演最新作『ぐるりのこと。』(初夏、渋谷シネマライズ、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー)の公開が待たれる橋口亮輔監督の名作 |
大ヒット作『フラガール』を生みだした李相日監督の長篇デビュー作がこの『BORDER LINE』 |
『エロス番長シリーズ~ユダ』は、ピンク四天王というフィールドを軽々と飛び越えて、意欲的な作品を発表し続ける瀬々敬久監督の隠れた傑作。雑誌「映画芸術」が選出する2004年度ベストテンで、見事ベストワンに輝いた |
1981年生まれの若き鬼才、柿本ケンサク監督のポップな作風が光る『colors』。村上淳、松岡俊介という豪華キャストに加え、渡辺真紀子、マメ山田、山本浩司という個性派を集めたキャストの妙にも注目だ |
最終日に上映されるのは青山真治監督の『Helpless』。その後も光石研を起用し続ける同郷の盟友、青山真治の鮮烈なデビュー作としても見逃せない作品となっている |
上映される作品は、どれも光石研の映画人生をハイライトした作品ばかり。中には、今後スクリーン上映される機会がほとんどないと思われる、貴重な作品も見ることができる。光石研ファンならずとも、是非とも劇場に足を運んでみてほしい。
映画祭概要
「30周年 俳優・光石研~祝宴7デイズ~」
会場 | 渋谷ユーロスペース |
---|---|
日程 | 5月17日~23日のレイトショー(21:05~23:30) |
料金 | 【当日】 一般1,300円/学生:1,000円 【前売】1回券:1,100円/3回券:3,000円 |