米Microsoftは4月24日(現地時間)、同社会計年度で2007年第3四半期(2008年1-3月期)決算を発表した。売上は144億5400万ドルで前年同期比3.9%の増加だったが、純利益は43億8800万ドル (EPS : 1株当たりの利益は0.47ドル)で前年同期の49万2600万ドルを11.0%ほど下回る水準となった。Windows Vista乗り換えプログラム「Technology Guarantee Program」で売上増を達成した前年同期とほぼ同レベルの売上げを上げながらの減益だ。今期の業績には欧州委員会から課せられた懲罰金14億1700万ドル(EPS換算で0.15ドル)のほか、税金優遇による増益分0.15ドル(EPS換算)が含まれている。売上増に貢献したのはXbox 360を抱えるエンターテイメント&デバイス部門で、約7割の増収を記録した。
事業部別に見ていくと、Windows Vista等のクライアント向けOSを扱うクライアント部門は、前述の通り前年同期にTechnology Guarantee Programの積み増し分があったことから、今期は売上が前年同期比23.7%減少の40億2500万ドルとなった。同社第2の柱であるMicrosoft Officeなどを扱うビジネス部門の売上は47億4500万ドルと前年同期でほぼ横ばい。それ以外の部門はほぼ2桁水準で売上が伸びており、サーバ&ツール部門が18.4%増の32億5500万ドル、オンラインサービスビジネス部門が39.8%増の8億4300万ドル、エンターテイメント&デバイス部門が68.4%増の15億7600万ドルだった。
今年2月にはエンタープライズ向けフラッグシップ3製品「Windows Server 2008」「Visual Studio 2008」「SQL Server 2008(製品版の登場は2008年半ばを予定)」がアナウンスされており、サーバ&ツール部門は来四半期以降の大きな躍進が期待される。売上面で大きく躍進したオンラインサービスビジネス部門だが、営業利益をみると前年同期の1億7100万ドルの赤字が今期は2億2800万ドルと損失幅がさらに拡大した。Microsoftの全事業の中で最も少ない売上の同部門だが、Googleとの攻防やYahoo買収提案などにみられるように、今後は同社の中核事業への成長が期待されているだけに、事業の早急な立て直しが求められる。
今期最大の注目点はエンターテイメント&デバイス部門だ。全事業の中で最も高い成長を示し、営業利益で黒字化を達成した。Microsoftによれば、Xbox 360ハードウェアに対する需要は2007年より伸びており、全世界の売上台数は第2四半期に1900万台を超えたという。これは前年同期より74%増の水準だ。業界アナリストらから「お荷物事業」と酷評されてきたゲーム機ビジネスだが、長い赤字期間を経てようやく独り立ちの時期が近付いてきた。Microsoftの執念の結晶といえる。