アースデーに秋葉原でメイドがエコ活動
19日と20日午後、東京・秋葉原のJR秋葉原駅前では今話題のメイドが道行く人に、携帯できて何回でも使える「マイ箸」を配った。このイベントは、日本メイド協会が主催した「メイドと一緒に箸から考える環境問題」と題された環境活動で、「アースデイ東京2008」参加イベント。用意された200膳の「マイ箸」は、20分ほどでなくなる人気ぶりだった。
「アースデイ東京2008」初日の19日、東京地方は朝から嵐のような豪雨と強風に見舞われ、代々木公園を中心に予定されているさまざまなイベント開催が危ぶまれた。だが幸い昼前には天気も回復し、青空が顔を見せた。メイン会場の代々木公園が多くの人で賑わう14時過ぎ、JR秋葉原駅電気街出口前の広場で、メイドによる「マイ箸」の配布が始まった。
今回のイベントに参加したメイドは、綾川ゆんまお、野苺みるく、石崎惠美さんの3人。いずれも日本メイド協会の「メイド検定」に合格したお墨付きのメイドさんだ。日本メイド協会は、「奉仕のプロ」であるメイドの普及および情操教育を目的に、2007年4月に設立された日本で唯一のメイド関連事業者団体。「メイド検定」や「メイドセミナー」開催の他、メイド関連イベントや広報活動を行なっている。会長はコスプレ雑誌『COSMODE』編集長の大門太郎氏。理事には、獨協大学教授で評論家の森永卓郎氏もいる。
これがメイドたちのエコ生活!
綾川ゆんまおさんは、テレビ出演やDVDでも活躍する「萌えドル」として知られた存在。著書にオタク向けの料理本『オタめしクッキング』もある。主催者である日本メイド協会理事も務め、今回の「マイ箸運動」を自ら提案し、ロゴマークもデザインした。「地球環境を守るために戦おう」なんて大それたことは思わないが、この「マイ箸運動」を定期的に行い、定着させるのが今の夢だという。
野苺みるくさんは、"メイドがいる眼鏡店"として知られる秋葉原の「キャンディフルーツオプティカル」のメイドさん。今回はメガネなしで参加した。ふだんからエコバッグを持ち歩き、ショッピングしても袋はもらわない主義だ。実はそのエコバッグ、自らデザインしたオリジナル。お店でメガネを買ったお客様にプレゼントするためのものだが、自分でも常に持ち歩き、エコを実践しているという。
野苺みるくさんは、自分でデザインしたエコバッグをいつも持ち歩く |
石崎惠美さんは、コンパニオンとして活躍している。接客スキル上達のためにと「メイド検定」を取得した。普段の暮らしでは、捨てるものを減らすよう心がけているという。買物する時にも、ゴミが出ないよう気を配って買物しているとのこと。もちろん「マイ箸」も常に持参しており今回のイベントに参加したことで、あらためてエコ意識が高まったと語る。
小学生から外国人まで「マイ箸」は大人気!
いよいよ「マイ箸」の配布スタート。3人のメイドは「割り箸を使わないで、マイ箸を使って」と、道行く人に「マイ箸」を手渡す。このイベントを知っていて秋葉原までもらいに駆けつけた人もいれば、偶然通りがかりにチラシかと思って受け取り「マイ箸」にびっくりする人も。いずれも「マイ箸」を手に取って、「うれしい!」、「欲しかった」と大好評だ。
秋葉原という今や東京一の人気スポットだけに、「マイ箸」を受け取る人々も実に多彩だ。小学生、ビジネスマン、主婦、シニア、さらには海外からの観光客。みんな一様に立ち止まり、カメラを向けたり、一緒に写真に収まったりして「マイ箸」を受け取る。メイドの姿を見てメイド喫茶に興味を持ち、店の案内を求める外国人観光客家族もいれば、日本に住んでいるがメイドと写真を撮るのは初めてと、次々写真を撮りあう中国・広州からの留学生仲間もいた。
意外だったのは、メイド姿を見て大喜びする主婦の反応。一緒に写真を撮って感激し、「マイ箸」をプレゼントされて、またまた大喜び。とにかく、老若男女誰にとっても、メイドはまるで「アイドル」のような存在に感じられた。こうした光景を見ていると、メイドという存在が、すでにある種の社会的存在として認知されていることをあらためて痛感させられた。
「萌え~」と地球環境保護の意外な関係
今回配布された「マイ箸」は、プラスティック製で半分に取り外せ、透明ケースの中に入れて持ち運びできる便利な作り。ブルー、オレンジ、白の3色があり、洗って何度でも使える。ケースの表面には、この「マイ箸」運動のロゴマークも入っている。バッグの中に気軽に入れておき、外食の際に取り出してお店の割り箸ではなく「マイ箸」を使ってもらうことで、環境保全に貢献しようという狙いだ。
3色が揃ったマイ箸。使うときは差し込むと長くなる |
本来、間伐材を使うことで、むしろ森林保護に役立ってきた割り箸だが、アジア諸国から安価な割り箸が輸入されるようになり事情が変った。そうした国々では間伐材ではなく森林を新たに伐採して割り箸を製造する。しかも使用済の割り箸はリサイクルできず、ゴミとして燃やすしかない。日本国内での割り箸消費が、熱帯雨林などの森林破壊や温室効果ガス増加に結びつくことから、「マイ箸」を持ち歩いて割り箸の消費を減らそうという考えが広まった。この「マイ箸運動」もそうした考えに基づくものだ。
それにしても、なぜメイドが地球環境保護なのか。主催者の大門太郎日本メイド協会会長に伺った。メイドとエコは一見結びつかないように感じられるかも知れないが、現在のようにメイドが注目を集めているなら、その力を利用して世の中に訴えれば、より効果的にメッセージを届けることができるのではと考えたという。また、そうした社会貢献によって、誤解されがちなメイドの地位向上を図りたいとも考えているとのこと。
また「マイ箸」配布を行なったメイドの一人で、日本メイド協会理事でもある綾川ゆんまおさんは、メイドの立場からこう語る。「メイドに求められるものは"癒し"だが、人が地球に求めるものもまた"癒し"。同じ"癒し"を持つ立場から、メイドが地球環境の保全を訴えることは共感を得やすいと思う」。
確かに、今回の「マイ箸」配布では、大門会長や綾川さんの言葉にもある通り、人々が「メイド」という存在を通してすんなりと地球環境保護のメッセージを受け取り共有していることが実感させられた。今や世界各国へと広がり、国際的なサブカルチャーとして認知されつつある「メイド」だが、こうした地道な活動がエコ意識をより広め、メイドという存在に新たな一面をもたらすかもしれないと感じさせられた。