新しい企業ロゴ

既報の通りNTTドコモは18日、企業ブランド戦略を刷新することを発表した。発表会では代表取締役社長の中村維夫氏が、ドコモが変わるためのビジョンとして4つの「新ドコモ宣言」と、新しいブランドステートメントおよびブランドスローガンを発表した。また新施策発表に合わせて、企業ロゴを一新し、7月1日から使用すると発表した。

発表会で中村社長は、携帯電話市場が飽和状態に陥っている現状や、新たな販売モデルの導入など、現在の移動通信業界の現状を語り、ここ1年で、純増シェアで苦戦が続いている現状について「ドコモのブランド力が落ちている。危機だと感じている」と語り、「具体的な危機感を感じたのは、5年ほど前。MNP(番号ポータビリティ制度)が導入されたことが、事業方針を見直す決定打になった」と振り返った。

NTTドコモ代表取締役社長の中村維夫氏

特別顧問の魚谷雅彦氏

変化する市場環境を踏まえ、昨年8月にコーポレートブランディング本部を設置し、企業ブランドのあり方を見直す検討を行っていたと説明。事業提携の関係で付き合いが深い日本コカ・コーラの魚谷雅彦会長を特別顧問として招き、企業ブランドの見直しを行った。契約者数の増加を最優先とする従来の戦略を転換、5,300万の既存顧客へのサポート体制を拡充する方針を打ち出した。

4つの「新ドコモ宣言」

新ドコモ宣言の具体的な取り組み

今回発表した新ドコモ宣言は、「ブランド価値を磨きなおし、ユーザーとの絆を深める」「ユーザーの声を受け止め、その期待を上回る会社に変わる」「イノベーションを起こし続け、世界から高い評価を得られる企業を目指す」「活き活きとした人材で溢れ、同じ夢に向かってチャレンジし続ける集団になる」といった4項目。

中村社長は「携帯電話はキャリア(通信事業者)主導の時代からユーザー主導の時代に変わった」「技術や機能によって携帯電話会社を決めるよりも、デザインやネットワーク、料金、店頭でのきめ細かい対応などで決める時代になってきた」と移動通信業界の変化について語った。

特別顧問の魚谷氏は、「新規契約するユーザーが1円で購入できる端末が、機種変更には数万円支払うことになるのは、違和感があった」と例を挙げ、新規顧客獲得への過度な集中や、キャリア主導の成長戦略、縦割り・個別最適化された組織の非効率さなどを問題点として挙げた。

また、「5,300万のユーザーに対して請求書を送ったり、年間約2,000万件の電話がかかってくる会社は他にはない。これらは、ユーザーと直接コミュニケーションを取れる」ことを意味すると語り、マーケティングに活かせると指摘した。

新しい企業ロゴが披露された。新デザインのロゴは、オリジナルの赤色「ドコモレッド」1色に統一されている

ロゴマークの変更に伴いドコモショップもリファインされる

16年間使ってきた現在の「ループロゴ」に代わる新しいコーポレートロゴは、未来に向けた無限の可能性とヒューマンタッチ、安心感、信頼感を表現した、シンプルで親しみやすいデザインを目指したという。"優しさ"、"絆"を表現するため、小文字で「docomo」と表記し、より顧客に近い存在であること表現しているという。文字の色には新たにイメージカラーとして採用されたオリジナルのレッドの「ドコモレッド」を採用した。7月1日から新たなコーポレートブランドロゴとコーポレートカラーを採用し、ドコモショップの店舗デザインについても、新ロゴに準じたものへリファインし、順次切り替えていく。