文部科学省はこのほど、学校の公式ホームページとは異なる、児童や生徒が管理する学校関連のブログや掲示板、いわゆる「学校裏サイト」が全国に約3万8,000件あったとの調査結果を公表した。「2ちゃんねる」などの掲示板に掲載される「スレッド型」が最多であることや、抽出したサイトの半数に「キモイ」などの中傷が書き込まれていることが分かった。
同調査は、"ネットいじめ"の温床となっているとされる学校裏サイトの数や誹謗(ひぼう)中傷などの内容の実態について、NPO法人や大学教授の協力も得て文部科学省が今年1月から3月まで実施した。
サイトの掲載形態別に見ると、掲示板にスレッドとして掲載されている「スレッド型」が3万3,527件と最多となったほか、生徒が「個人ホムペ」と呼び、数人のグループで遊ぶ「グループ・ホームページ型」が1,944件、「Teens学園」「高校生のしゃべり場」など、全国の中高生がだれでも閲覧・書き込みができる「一般型」が1,931件、特定の学校の生徒が閲覧や書き込みをする「特定学校型」が858件だった。
また、同調査では、群馬、静岡、兵庫の各県の学校裏サイト約2,000件をサンプルとし、書き込み内容をさらに詳しく分析。その結果、約半数のサイトに「キモイ」「うざい」など中傷が書き込まれていることが分かったほか、性器の俗称などわいせつな言葉があるサイトが37%、「死ね」「消えろ」「殺す」など、暴力を誘発する言葉が含まれるサイトが27%を占めることも明らかとなった。
さらに、これら3県の中高生2,418人に対し、学校裏サイトに関するアンケート調査も実施。同サイトを「知っている」と答えた生徒が33.0%、このうち閲覧したことがある生徒は23.3%であることが分かった。さらに、閲覧した経験がある生徒のうち、13.8%が書き込んだことがあると回答した。
学校裏サイトなどを含めた"ネットいじめ"を防止するための対策講座を開く全国Webカウンセリング協議会理事長の安川雅史氏は、「今回は3万8,000件というが、これよりもっと多くの学校裏サイトが存在しているのは確実。これだけ裏サイトが広がった背景には、携帯電話の爆発的な普及とパケット定額制の浸透があるが、もっと本質的な原因としては親や教員の無関心と携帯利用方法への無理解がある」と指摘。
さらに、「『陰でコソコソやる』『匿名だと凶暴になる』といった傾向もあるようで、これらの要因が重なって子どもが暴走している。これに歯止めをかけるには、大人たちが本気になって裏サイトの問題に取り組み、適切な対処をすることが求められる」と述べ、本格的な対策の必要性を訴えている。