IDF 2008 Shanghaiが開幕した。開催初日の4月2日、目玉となるのがIntel Atomプロセッサの製品発表と、それにともなう各種詳細情報の一斉公開である。
ところで、今回のIDFは中国・上海で開催だが、実は筆者は今回日本でお留守番である。ということで、全然現地がどうなっているのかは判らないのだが、IDF恒例「プレゼンテーション先出し」が早速始まっている。数年前からIDFではテクニカルトラックの資料をオンラインで公開する形にしているのだが、なぜか前日あたりからぼちぼち出始め、IDF終了後まで、出たり消えたり差し替わったりが激しく行われるのが常である。筆者などからすればネタの宝庫とも言えるわけであるが、今回に関してもIDF開催前日の4月1日の18時の時点で既に40余りのプレゼンテーションが出現している。
そんなわけで、これらのプレゼンテーションの中から、Intel Atomプロセッサ周りの話を少しお届けしたい。といっても、内部構造とかの話に関するプレゼンテーションはテクニカルトラックには含まれて居ないようなので、これは現地の大塚・笠原両氏に期待したい。あくまで今回はその周辺の話である。
さてそのAtomプロセッサ、とりあえず2種類のフォームファクタがあるようだ。N270と呼ばれる22mm×22mmのものと、Z500~Z540というシリーズで、Z500~Z540の方は、
モデル名 | 動作周波数 | TDP |
---|---|---|
Z500 | 800MHz | 0.6~0.7W |
Z510 | 1.1GHz | 2W |
Z520 | 1.33GHz | 2W |
Z530 | 1.6GHz | 2W |
Z540 | 1.86GHz | 2.4W |
と発表されている。一方N270のスペックは不明だが、後のプレゼンテーションでSC(Single Core)が4W、DC(Dual Core)が8Wとあるから、恐らく2GHzを越えているものと想像される。
このAtomプロセッサを使った、低価格システムとしてIntelが用意するのがNettopというシリーズだ。2007年はCeleron 220をベースとしたものだが、今年はこれがAtomに切り替わるとしている(Photo02)。具体的に言えば、昨年のNettopとはD201GLY2の事で、今年はこれが新しい製品に置き換わる、という話である。
Photo02:このNettopという言葉も割りと急に出てきた気がする。少なくとも昨年秋のIDFでは、公式にはこうしたものは無かった筈だ。 |
Photo03:ちなみにIntelはD201GLY2のフォームファクターをあくまで"MicroATX"と主張し、Mini-ITXとは絶対言わない頑固ぶりを示していたのだが、ここにきてあっさりMini-ITXといい始めたのは何故なのか。SFF SIGの結成とは無関係だとは思うが。 |
その新しい製品の構成はこちら(Photo04)で、チップセットにはSiS671+SiS968かIntel 945GC+ICH7の組み合わせが選べるとしている。何が違うのか? というと、まぁ当然グラフィックの性能は異なるとして、なかなか興味深いのはSiS671ならば10Wで済むのが、Intel 945GCを選ぶと20Wになること。つまり、Photo02で出てきた12Wという数字は、N270+SiS671が前提になっているという事だ。
Photo04:これはDiammondville SC、つまりN270を搭載した構成の例。ICH7/SiS968から左上に出ているのはPCI Busと思われる(このマークはPCI SIGのものだ)。 |
Photo05:CPUはSCで4W、DCで8Wという数字が明確に示されている。まぁ恐らくはPentium DとかCore 2 Quadと同じ、Dual Die/Single Chipの構成であろう。 |
なお放熱に関しては、Intel 945GCはデフォルトがActive Cooling(つまり冷却ファン付きヒートシンク)となっているあたり、何かしら1つはファンが無いと結構きつい模様だ(Photo06)。
Photo06:ちなみに冷却に関しては、以前こちらでレポートしたピエゾ素子による冷却方法を更に進化/巨大化した話が今回のIDFのTechnical Sessionに含まれているようなので、こちらと組み合わせた話が出てくる可能性はありそうだ。 |
最後が非常に興味ある話であるが(Photo07)、これを見るとAtom Processorの出荷は公式には6月の模様だ。これがDiamondville、つまりAtom N270だけの話なのか、Z500シリーズも含む話なのかはIDF中に追って明らかにされると思われるが、まぁそんなわけで登場まではもう少し、という感じなようだ。