IDF開幕を直前に控えたプレスプレビューにて、「Intel Atom」を搭載するMini-ITXマザーボードや、それを利用したデスクトップPCが展示されていた。特にマザーボードの方はDIY市場へも製品投入が予定されており、パソコン自作派も要注目だろう。出荷開始時期は担当スタッフによれば今年の6月とのこと。

Atomを搭載するMini-ITXマザーボード

AtomはSilverthorneやDiamondvilleといった開発コードネームで知られる小型・低消費電力プロセッサで、3月のCeBITでの製品ブランドお披露目に引き続き、今回のIDFではより詳細な情報が発表される公算が高い。よってプロセッサ自体の詳細は追ってIDF開幕後にお届けするとして、まずはテクノロジー・ショーケースで公開されていた搭載製品の紹介をしたい。

まずはIntel純正のAtom Mini-ITX。「L945GCLF」という型番が確認でき、チップセットは945GCと見られる

ASUSの製品。最終製品でもファンレス仕様となる予定だそうだ

ZOTACもファンレス仕様。加えてメモリスロット2本は重宝しそう

こちらはMSIの製品で、ファンレス仕様だがヒートシンクはやや大きめ。ちなみにメモリは4製品ともDDR2-SDRAMをサポートしている

さて、Atom搭載のMini-ITXマザーボードは4製品を確認することができた。チップセットはノースブリッジがDirectX 9世代のGPUを統合する945GファミリーでサウスブリッジにはICH7ファミリーを組み合わせているものと、その組み合わせとは別にSiSのチップセットを採用するモデルが存在する。展示にはファンレスとファン付きのマザーボードがあるのだが、ショーケースのスタッフによれば、搭載プロセッサの動作周波数はすべて1.60GHzなので、冷却機構は製造ベンダーの判断次第ということだろうか。ちなみにAtomにはデュアルコアの製品も予定されているそうなのだが、今回の展示製品はすべて同じシングルコアのDiamondville SCを搭載しているそうだ。

写真はASUSのボードで、サウスに「SL8FX」と印刷されたチップを搭載。チップセットはこの製品のような945GC+ICH7採用のものと、ほかにSiSチップセットのものもあるそうだ

このAtom搭載Mini-ITXを利用したデスクトップPCとして展示されていたのが「Nettop」と呼ばれる小型デスクトップ。ちょうどこちらの記事で紹介したNetbookのデスクトップ版というコンセプトの製品である。プロトタイプのため製品版とは仕様が変わってくる可能性があるものの、Windows VistaやWindows XPを載せた動作状態で展示されていた。

前述のASUS製Atomマザーボードを利用した製品。完全ファンレスでノイズレスを謳っている

同様にファンレスというNettop。前面にはAtomシールも貼られていた

こちらはNettopにしてはやや大きめだが、それでも既存デスクトップに比べれば小さい方だろう

これもNettop。小型ディスプレイを内蔵している一体型だとか。この製品も300ドル以下だという

それではということで、AtomについてOSからハードウェアの情報を確認してみた。物理的にはシングルコアだが、SMT(Simultaneous Multi-Threading)により2CPUとして認識されており、動作周波数は(前述の展示マザーボードと同じものが入っているそうなので当然だが)1.60GHz。これまで未知数だった実性能に関しては、とりあえずVistaのWindows Experience IndexのProcessorの項目では「3.0」と計測されており、2.0以上あればブラウジング程度は問題ないという指標なので、最新OSを搭載しても基本機能くらいならそこそこ快適に使える性能といったところだろう。

OSからは写真のように認識されていた。論理2スレッドの1.60GHzとの表示。このNettopではSiSのチップセットを採用しており、統合GPUもMirage 3となっている

1.60GHzのAtomに945Gファミリーのチップセットを搭載するNettopでのWindows Experience Index

ところでDIY市場において、Mini-ITXマザーボードというと"高い"というイメージがあったかもしれないが、どうやらAtom製品に関しては相当な安価で登場しそうという話がある。そもそもNettopの価格自体が「15インチCRTまたは小型液晶を込みにしたシステム価格でアンダー300ドル」(担当スタッフ)を見込んでいるそうで、マザーボード単体でもOEM向け価格で60ドルくらいから用意される製品もあるという。ほかにも、以前発売されたIntel純正のMini-ITX「D201GLYL」と同程度の価格だと説明するスタッフもおり、どちらにしても、どうやらかなり手の出しやすい価格で登場してきそうである。

加えて、Atom搭載のMini-ITXをDIY向けに投入するという話については、3月のCeBIT 2008のブースでも複数のマザーボードベンダーから聞けていたので、製品モデルや出荷量についても豊富になると考えられる。夏以降はMini-ITX導入の敷居が大きく下がることが期待できそうだ。