環境問題の解決には科学技術の発展が必要
科学技術館館長 有馬朗人氏 |
一つ目の講演となった有馬氏の講演では「地球の将来のために -科学技術の推進- (環境問題とエネルギー)」と題し、環境問題を解決するために、いかに科学技術が重要であるかが語られた。
人類の総人口は産業革命以前は5億人程度であったものが、現在では60億人を突破、2030年には80億人に達する見込みである。人口の増大に併せエネルギーの使用量も増加しており、現在の1人当たりのエネルギー使用量は石油に換算すると米国でおよそ8t/年、日本でおよそ4t/年、中国で1t/年、インドで0.5t/年となっている。
「中国で消費される1次エネルギーの消費量は石油換算で2005年で15億t、これが2030年には2.1倍の31億tとなる。インドは2.9倍の11億tとなる」(同)。こうした動きを勘案すると、世界のエネルギー需要は「少なく見積もっても2050年には現在の1.5~2倍のエネルギーが必要となる」(同)となる。世界のエネルギー資源の埋蔵量は石油が約40年、天然ガスが約60年、石炭が150年程度、すべてを合わせても100年では使い切ることとなる。こうした状況を有馬氏は「エネルギーのみならず、さまざまな化学薬品を生み出すことができる石油を使い切ることは人類の負の遺産となる」と指摘する。
また、「オイルサンドやオイルシェールからの石油採掘により100年以上採掘が可能という見方もある。また、海底にはメタンハイドレードもある」(同)というが、こうした採掘を可能にするためには、「よほど科学技術を進めていかなくてはならない」(同)とする。