エムエスアイコンピュータジャパンは、代表取締役人事などの組織変更や、MSIグループのグローバル展開における日本法人の位置付けの変更などを含む新体制を発表した。新たな組織のもと、これまで以上にMSI本社との連携も強化し日本市場でのシェア回復を目指す。
都内では記者会見が開催され、台湾本社Senior Vice PresidentのHenry Lu氏、同Assistant Vice PresidentのVincent Lai氏、そして、新たに日本法人の代表取締役に就任したShimei Tei氏の3名から新体制についての説明がなされた。
Lu氏によれば、昨年、MSIグループ全体では非常に良好なビジネスが行われ、好調な業績を達成することができたのだが、そのような状況の中にあって、日本市場については逆に業績の落ち込みが深刻であったとされる。MSIのワールドワイド展開から見ると、同社にとっては日本が比較的特殊な市場という事情もあったそうで、従来は、MSIグループにおける優先順位もそれほど高くは位置付けられておらず、そのため本社からのサポートも手薄だったのだという。
しかしながら、日本市場でのビジネスを重要視するLu氏から、獲得していたシェアを他社に奪われるかたちで業績が沈み込んでしまった日本法人に対し、強力なテコ入れが行われることが発表された。具体的には、これまで日本法人は本社海外事業部が管轄していたところ、その枠を超えて本社Senior Vice Presidentにある同氏が直接サポート。これにより、予算や日本市場へのタイムリーな製品投入といった意思決定がスムーズになると見られる。Lu氏は「日本のユーザーからの信頼回復に努めたい」と意気込みを語っており、以前まで同社の特徴であったが、昨今縮小の憂き目にあっていた"手厚いユーザーサポートサービス"の復活も予定されている。
日本法人の新代表取締役に就任したTei氏は体制変更を受け、「自分が力を注いできたMSIというブランドが、昨年のような不調に陥ってしまったことが非常に悲しい」としながらも、「今回の件は大きなチャンスと考えている」と、建て直しへの強い意思を示す。
ちなみに、MSIはワールドワイドでは現在ノートブック事業が大きな成長を見せており、また、OEM向けの製品供給ではなく、自社ブランドで販売するノートブックに特に力を入れる方針で展開していることも特徴だとされる。しかしTei氏は、日本市場においては「MSIの根本事業」(同氏)というPCパーツ分野に重きを置いた戦略をとる方針と説明する。同氏は第一にPCパーツ分野のシェア回復を目指すと述べており、「マザーボードで15%、グラフィックスカードで10%」を2008年の目標シェアとして据えることを発表した。
Lai氏からは、ワールドワイドでの製品戦略についての説明がされた。同社は2008年、特に「エコ」をポイントに製品を提供していくとしており、「エコロジー」と「エヴォリューション」をあわせて造語である「エコリューション」をキーワードとして行きたいと語っている。今年のCeBITで公開されたスターリングエンジン搭載M/Bなども、こういった方向性から研究が行われている製品だそうで、ほかにも、同社製品のパッケージをリサイクルを意識したものへと変更していく計画なども紹介された。
EFI搭載M/Bの先駆けとして開発した「P35 Neo3-EFINITY」をはじめ、新製品には幅広くEFIの搭載を推し進めるという計画や、MOSFETコントローラを内蔵する独自技術「DrMOS」など、PCパーツ分野における同社独自の技術の採用。また、DiamondvilleことAtomを搭載するローコスト、小型PCといった製品も投入する予定としており、新しい製品へのチャレンジについても積極的な姿勢を示していくとしている。