米Intelと米Microsoftは3月18日(現地時間)、米大学らと共同で並列コンピューティングにおけるソフトウェア開発を加速するための研究センター「Universal Parallel Computing Research Centers(UPCRC)」を設立すると発表した。UPCRCに参加するのはカリフォルニア州立大学バークレー校(UC Berkeley)とイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(University of Illinois at Urbana-Champaign: UIUC)の2つで、両大学のキャンパスにそれぞれUPCRCが設置される。IntelとMicrosoftは両大学のUPCRCに対して今後5年間で2000万ドルを提供し、UIUCからは約800万ドル、UC Berkeleyからは州の援助基金700万ドルがそれぞれUPCRC運営に充てられる。
PCやモバイル機器、サーバなど、内部で用いられているプロセッサはデュアルコアやクァッドコアが当たり前となりつつある。例えば先日Intelが発表した2008年後半に登場予定の「Nehalem(開発コード名)」では8つのコアを搭載したオクタコアのプロセッサデザインが定義されている。クロック周波数の増加が頭打ちとなる一方で、今後も単位プロセッサあたりのコア数は増え続ける傾向にあり、こうした並列動作可能なコアをいかに活用してプログラミングするかが大きな鍵となる。並列プログラミングでパフォーマンスを出すには従来とは異なる手法が求められるため、これが至急の課題としてIT業界に持ち上がっているのが現状だ。UPCRCでは来たるべきマルチコアやメニイコア・プロセッサの時代に備え、並列コンピューティングに関する研究やプロモーションを行う。両社によれば、並列コンピューティングに関する産学協同の試みは米国で初の事例だという。
UPCRCでは、OS、アーキテクチャ、アプリケーション・プログラミングの面から並列コンピューティングの技術開発を進めていく。両大学が選ばれた理由として、並列コンピューティングでのこれまでの実績を評価したという。UC Berkeleyに設置されるUPCRCはコンピュータサイエンスの教授であるDavid Patterson氏が指揮し、同大学の教職員14名、大学院の研究者50名が参加する。UIUCに設置されるUPCRCはコンピュータサイエンス教授のMarc Snir氏と電子・コンピュータエンジニアリング教授のWen-Mei Hwu氏が指揮し、20名の教職員と26名の大学院生や研究者が参加する。UPCRCで開発されたソフトウェアは、さらなる開発促進に向けて技術者コミュニティで公開される予定だ。