オープンソースのWin32 API互換環境「Wine」が、6月にバージョン1.0を迎える見込みだ。開発を進めるWine HQが18日、デベロッパー向けのコミュニティサイト「Wine Wiki」で明らかにしたもの。開発が正式スタートした1993年6月から数え15年という長い開発期間を経て、ついに正式リリースの運びとなる。
提示されたリリーススケジュールによれば、Wine 1.0.0のリリース予定日は6月6日。正式リリースまでには、互換性の点で特に重視するキーアプリケーション (Photoshop CS2 tryout、Microsoft Word / Powerpoint / Excel Viewer 97) の動作確認を行い、さらにリリース候補版による検証を実施するという。バージョン1.0のリリースに遅れが生じるとすれば、それらキーアプリケーションの動作に問題が生じたときに限定されるとのこと。リリース候補は、第1版 (RC1) が5月9日、第2版 (RC2) が5月23日に公開される予定。
Wine (WINE Is Not an Emulator) は、X11 / OpenGL / POSIX互換環境上にWindows互換機能を提供するAPIセット。CPUコードのエミュレートではなく、Windows APIのコールを実行環境に応じて置換する方法によりWindowsアプリケーションを実行することが特徴。長期間αリリースの状態にあったが、2005年10月にβステージに到達、Intel Mac向け製品「CrossOver Mac」など商業ベースでの利用も本格化。Googleの資金提供といった追い風も手伝い、開発速度はアップ、互換性も大幅に改善されていた。