春は電子辞書がもっとも売れる時期。新入学や新社会人はもちろん、最近は生涯学習のために購入するシニアも増えているという。メーカーではさまざまな購入動機に対応する電子辞書をラインナップしている。そこで自分にピッタリの電子辞書を選ぶのにはどうしたらよいのか。カシオで電子辞書のマーケティングを担当されている上田氏にその選び方について聞いた。

まずは中身の辞書で選ぶ

--電子辞書を選ぶときのポイントはどこになりますか。

上田 やはりお客様が電子辞書を選ばれる理由の一番はコンテンツです。英和、和英、国語、漢字といったオーソドックスな辞書はどのモデルにも入っています。それに加えてどんな辞書を搭載しているかが最も重要になります。電子辞書選ぶとき、まず自分が何をやりたいのかハッキリしていると選びやすいですね。

--たとえば英語をやりたいと思っている人にはどれがいいですか。

上田 奈美子氏
カシオ計算機株式会社
営業本部 国内営業統轄部
コンシューマ企画部 CES企画室
上田 奈美子氏

上田 ひとくちに英語を勉強するといっても、年齢や勉強する内容がさまざまなです。高校生には高校生向きの辞書がありますし、大学生には大学生向けの辞書が出版されています。明確な用途を持っている人、具体的にいうと学生さんの場合は、学校で使っている辞書が入っているとか、大学で先生が薦める辞書が入っているとかで選ばれるケースが多いです。

一方漠然としていて用途があまりハッキリしない方もいらっしゃいます。そういう方にはプライベートからビジネスまで使える辞書がふんだんに盛り込まれている、一般向けの電子辞書をお薦めします。

--カシオの製品でいうとどれになりますか。

上田 カシオでは、一般向けを「総合モデル」、中学生・高校生向けを「中高生モデル」、英語辞書を強化したものを「英語モデル」、英語以外の外国語辞書を充実させたものを「外国語モデル」、医学生や看護師向けを「医学モデル」と呼んでいます。メーカーにより若干呼び方に違いはありますが、業界でもだいたいこのような分け方になっていますね。

--大学生モデルというのはないのでしょうか。

上田 大学生の場合は、履修内容によって最適なモデルが異なってきます。たとえばXD-GP9700という英語モデルは本来、翻訳家や英語の教育者・研究者などのプロ向けなのですが、大学生でも英文科の方には利用価値が高い機種です。英語以外の外国語を専攻されている方には、中国語・ドイツ語・フランス語・イタリア語・スペイン語・韓国語それぞれの専門辞書を収録した、外国語モデルをお勧めします。それ以外の大学生には、英語モデルのXD-SP9500が最適です。大は小を兼ねるということでプロ向けのXD-GP9700の人気も高いのですが、そこのところはよくご検討いただいた方がいいかもしれません。たとえば9500には7カ国語のトラベル会話集が入っていますが、9700には入っていません。XD-SP9500に、第二外国語の別売コンテンツを追加して使うというのが、大学生で最も多いパターンです。

--一般向けの「総合モデル」も複数ありますが。

上田 XD-SP6600とXD-GP6900の2モデルはともに100コンテンツを収録しており、人気が高いですね。なかでもXD-SP6600は「広辞苑 第六版」をいち早く収録したこともあり、一番の売れ筋です。一方XD-GP6900は国語・英語・日本史の大辞典などが収録されており、旅行会話集も11ヵ国語となっています。知的探究心が旺盛な方や、いろいろな国へ旅行したい方にはXD-GP6900がいいでしょう。

XD-SP6600とXD-GP6900
左がXD-SP6600、右がXD-GP6900。
XD-GP6900はXD-SP6600に比べひとまわり大きなサイズとなっている

上田 カシオの2008年モデルに関して言えば「百科事典マイペディア」「日経パソコン用語事典」などはどの機種にも入っているのですが、総合モデルに収録されている生活・実用系のコンテンツの多くは別売していません。40代以上の方で中国語を学びたい方が増えていますが、たとえば中国語のモデルのXD-GP7350/XD-SP7300には、「家庭医学大全科」や「冠婚葬祭マナー辞典」などは未収録で、いずれも別売りしていません。そうしたコンテンツが必要な場合は、一般向けの「総合モデル」を買って、あとで中国語の別売コンテンツを追加した方がいいでしょう。

コンテンツの追加に関しては、自由に組み合わせることができるかどうかもチェックしていただきたいと思います。カシオの別売コンテンツは、データカード版だけでなくCD-ROM版も用意しています。CD-ROM版は、パソコンからUSBケーブル経由で追加する仕組みなので、複数のコンテンツを組み合わせて利用できます。

たとえばヨーロッパによく行かれる方で、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、の専門辞書が全部入った電子辞書を希望される方もおられますが、残念ながらそういうモデルはどのメーカーにもありません。カシオの場合は、他社さんと同様にフランス語のデータカード・イタリア語のデータカードなどを取り替えて使う方法だけでなく、複数のコンテンツをまとめて本体の空きメモリや市販のメモリーカードに入れられるよう、CD-ROM版を用意しているのです。大学の先生ですべての言語のCD-ROMを購入されて、1枚のメモリーカードに入れて使ってらっしゃる方もいます。PCをお持ちの方に限定されますが、自分なりの組み合わせで使いたい方には、CD-ROM版が好都合です。

ハードウェアで選ぶ

--コンテンツの他にチェックするポイントはどこですか。

上田 2番目になるのがどう使いたいか、というハード面です。持ち歩くには大きすぎては扱いにくいですし、丈夫な方が安心です。また暗いところでも使えるように明るいバックライトがついている方がいいでしょう。さまざまなリクエストがある中、カシオでは機能と使い勝手のバランスをとるように心がけています。

表示については、画面を構成するドット数を増やして高精細にすれば、たくさんの文字を表示でき、一覧性も高まるのですが、これもバランスが重要です。今年はHVGA(480×320ドット)表示が、業界標準になると思います。カシオは画面の高精細化に早くから取り組み、2005年からHVGAを標準としてきました。業界的にはさらに高精細なVGA(640×480ドット)表示のモデルや、カラー液晶を採用したモデルも一部にありますが、電池寿命の点で課題が残っていると思います。

操作性については、手書き入力とキーボード入力の両方をチェックしていただければと思います。手書き入力は当社を含め3社の電子辞書が対応していますが、それぞれに特長があります。カシオの2008年モデルは、ツインタッチパネルを採用することで、メインパネルでも単漢字の手書き検索が可能です。

また、キーボードの操作性も重要です手書き入力を装備するにあたって、エクスワードが最も気を配ったのは、キーボードの大きさを維持することでした。キーボード入力と手書き入力の使用場面を想定し、それぞれの使い勝手を重視した設計になっています。そのあたりも店頭で比較して欲しいポイントです。それから外見も是非チェックしていただきたいですね。電子辞書も楽しく使いたいという声に応えて、3月7日に女性を意識したカラーバリエーションモデルの販売を開始しました。頻繁に使うものだからこそ、機能一辺倒ではなく、それぞれの方の好みに応じたスタイルも大事にしています。色で選ぶというのもアリだと思います(笑)。「カシオのエクスワードなら自分にあった一台が必ず見つかる」と言っていただけるよう、これからもラインアップの充実を目指していきたいですね。

XD-SP6600BU XD-SP6600BU
XD-SP6600PK XD-SP6600PK
XD-SP6600BU(ラベンダーブルー・上段)とXD-SP6600PK(パウダーピンク・下段)。それぞれのモデルで豊富なカラーバリエーションが用意されている

--ありがとうございました。