第二次世界大戦の有名な戦場をリアルに再現。激しい爆発や銃撃など、ミリタリーファンをもうならせる映画的な演出。その一方で、"目的地までの移動"、"目標物の爆破"といったわかりやすいクリア条件や、ほぼ一本道というシンプルなルート構成ながらもそれを感じさせない絶妙なマップの作り込みといった要素で、FPSファンを虜にする。そんな「コール オブ デューティ」シリーズの最新作となる「コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア(以下、COD4)」の舞台は現在戦。シリーズならではの戦場における臨場感に加えて、テロとの戦いをテーマにしたシリアスなストーリー展開も好評を博しているようだ。そのCOD4に、なんとニンテンドーDS版が登場。携帯ゲーム機で、戦場にいるかのような臨場感とFPSとしての快適な操作性をどこまで再現できるのかは、非常に気になるところだ。

思いのほか快適な操作を実現しているのにオドロキ

FPSゲームにおいて、至高の操作デバイスといえば「マウス」と「キーボード」だ。マウスによるスムーズな照準は、プレイステーション 3やXbox 360のアナログスティックをもってしても、とうてい実現できない快適な操作感を生み出す。それをアナログスティックもないニンテンドーDSでどうやって? タッチペンによる照準&射撃になるのか? などと考えていたが、なかなかどうして理にかなった操作方法になっている。まず、照準はタッチパネル面(下画面)が担当。ペンをグリグリと動かせば視点が変わる感じだ。一人称視点となるメインのゲーム画面(戦場)は上画面が担当する。マウスと同じような感覚での視点移動が可能で、ゲーム画面と照準が分かれているのでペンや指がゲーム進行のジャマになることはない。これはなかなかナイスな選択といえる。

これがニンテンドーDS版の「コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア」だ

マップ部分をペンで触れると上部の画面の視点が移動する仕組み。マウス感覚で視点移動ができる

難点は、移動が[十字]キーで射撃が[L]キーという割り当てになっていること。どうしてもDS本体を片手で支えるのが基本スタイルとなってしまい、長時間のプレイは少々疲れてしまうのだ。支えのない本体右側を机の上などに置いてプレイするのが一番ラクかもしれない。つまり、机などがない状況、電車内などでプレイするのは、かなり苦しいといわざるを得ない。まあ、電車内で慌ただしくタッチペンを動かす様は正直怖いので、机の上などで落ち着いてやるのがベターではあるが……。なお、タッチパネル面はマップの表示、銃の変更、弾丸の再装填(リロード)なども担当しており、サブとなる情報が集中している。そのため、メイン画面に表示される情報は弾丸数程度。狭いディスプレイに最大限、一人称視点で見た戦場を表示させられるように考え抜かれた設計には、素直に感心させられた。

実際のプレイスタイルはこんな感じ。右手でタッチペン、左手でボタン操作というのが基本となる。左手でタッチペン、右手でボタン操作といった設定も可能なので、左利きの人でも大丈夫

グラフィックの面は、DSとしてかなり高いクオリティにあるといえる。もちろんハイビジョン表示も可能なPC版やPS3/Xbox 360版の臨場感に比べるとかなり厳しいのは、否定できない事実である。とはいえ、小さい画面ながら、銃撃や爆発などの演出は出色のデキ。ヘリや戦車といった乗り物も登場するなど、ゲーム内容にはまったくそん色がない。敵の頭を撃てば一発で倒せる「ヘッドショット」はもちろん、歩いたり走ったりすることによる照準の広がりや命中精度の低下、しゃがみこんでの慎重な移動といった、リアル系FPSではおなじみのシステムもしっかりと再現されている。壁の裏などに隠れて安心していると敵が手榴弾を投げ込んできた大ピンチ……、なんてCODシリーズではおなじみのやられパターンもバッチリ健在。プレイヤーとしては、うれしいような悲しいような気分になってしまった……。

小さい画面ながら、「ヘッドショット」で敵を一撃! といったFPSならではのお約束もしっかりと実現されている

手榴弾が飛んできて大ピンチ! CODシリーズでおなじみの状況も再現されている。手榴弾のアイコンが見えたらとりあえずその場を離れよう

拾ったり触ったりできる物体には手のアイコンが表示される。タッチパネル面にある手のアイコンをペンで触れると実際に拾うなどのアクションが起こる