背景にあるのは、デジタルコンテンツを有機的に動かす「SiliconLIVE」
日本SGIが、SaaS(Software as a Service)事業の展開に注力している。同社といえば、ワークステーションの雄として、映画など映像作品製作には不可欠のコンピュータの供給者であり、研究機関や製造業の研究/開発を支えるハイエンドマシンの第一人者であるメーカーといった感が強かった。その同社が、新たな一面を見せ始めた。同社はどのような目的地を目指しているのか。
同社がSaaSの本格商用化を開始したのは2007年10月からだ。メディアエクスチェンジ(MEX)のインターネット網を基盤に、ソフトイーサのリモートアクセスソフトを用い、「DesktopVPN」サービスを提供した。DesktopVPNは、インターネットを介し、離れた場所にあるパソコンに安全にリモートアクセスできるサービスだ。
だが、準備はそれ以前から着々と進んでいた。もともと同社には2005年11月に発表された「SiliconLIVE」と呼ばれる戦略があった。これは、デジタルコンテンツを中核に位置付け、データをどのように有効的に活用するか、どんなところにコンテンツを配信すれば、利益につながるといった視点を軸に、コンテンツの生成、アーカイブ、配信、エンドユーザーの利用するインタフェースにいたるまで、コンテンツを総合的に支援するソリューション群を提供、コンテンツ関連の事業を効率的に拡大することを図るものだ。
同社ソリューション事業統括本部で、この戦略の指揮を執る、執行役員 SiliconLIVEソリューション事業本部長の秋野孝氏は「今や、コンテンツが主役となっている時代になっており、コンテンツにまつわるビジネスを積極化しようとの流れがあった」と話す。さらに、2006年の12月にデータセンター事業のMEXを傘下に収めたのは、この戦略を進めるにあたり、重要な布石といえるだろう。SaaS事業をしていく上でのバックボーンとなるからだ。MEXへの資本参加により同社はSaaS事業者としての「信頼性を確保できた」(秋野氏)としている。
日本SGI 執行役員 SiliconLIVEソリューション事業本部長 秋野孝氏 |