その効果の反面、健康上の問題も指摘されるテレワーク。NECでは、身体への負荷防止、労災発生防止の観点からテレワーク勤務時の作業環境について、照明や採光、椅子や机の配置、整理整頓など厚生労働省が定めるガイドラインをもとにした基準を設けているという。
最後に、伊藤氏は同社のテレワークトライアルの実践結果として、2007年のアンケート集計による中間評価を紹介。その結果、参加者本人の55%、上司の30%が「生産性が向上した」と回答し、参加者の95%がテレワークの継続を希望しているという。利用頻度では、月1 - 週1回が主流。ただし、会議など、対面コミュニケーションが必須な業務があることなどから、理想的な実施頻度は週1回という回答が多くを占めたといい、伊藤氏は「テレワーク勤務をオフィスの補完と位置づける会社の原則と実態と一致している」と語った。また、実際にテレワーク勤務を利用したケースでは、「集中したい作業がある」が圧倒多数を占めたほか、「外出があるとき、その前後に」「朝、または夜に用事があった」「出張中」などの回答が続いた。
一方、上司から見た勤務/業務管理といったマネジメント面では、95%の上司が「変わらない」「どちらかと言えばうまく行えた」と語っているのに対して、「参加者のテレワークの勤務日数は、月1 - 2回が大多数であるため、通常のオフィス勤務時との明らかな相違が実感されない面もある」と分析しながらも、「直接部下の姿が見えないことに不安を感じる」という声も一部に挙がったことが明かされた。伊藤氏は自社の取り組み経験をもとに「ブログなどを活用し、テレワークに慣れている社員と意見交換を行ったりすることで、質をアップしていくといい」と、今後テレワークの導入を検討中の企業に対してアドバイスを述べ、「実践結果を踏まえ、今後の勤務ルール、運用に反映するなど柔軟に取り組み、拡大を図っていきたい」と、今後も積極的にテレワークを推進していく意向を語った。