「Dynamics CRM 4.0」のもう1つの大きな特徴は、パートナーとの多角的な連携だ。ホスティング型のサービスは、マイクロソフトとサービスプロバイダ ライセンス アグリーメントを締結したパートナーが提供する形式となる。サービスプロバイダ各社は、「Dynamics CRM 4.0」のアプリケーション機能に独自のソリューションを付加し、多様なサービス内容と価格を設定、エンドユーザーに供給する。日立情報システムズでは、従来の社内設置型、運用委託型に加え、2008年夏からSaaS型を開始する予定だ。同社CMプロジェクト推進本部 CRM Solution Promotion Office本部長 下鳥恭介氏は「CRMを試用したいが、パッケージが高価で手が出せないとの声があった。また、自社運用型にしたいがエンジン変更の費用が高くつく、という企業もあった。これら双方にサービスを提供していきたい」と語る。
さらに、BPOサービスとの融合策が遂行される。企業の与信情報やCRMと密接に関連したさまざま情報は、従来、オフラインにより種類の異なる媒体で受け渡しがされることが多かった。「データ収集、ターゲティングなどプロセスごとに同じ顧客情報が分散、横のつながりがなかった」(マイクロソフト マイクロソフトビジネスソリューションズ事業統括本部 マーケティング部 CRMプロダクトマネージャ 吉田周平氏)のが実態だった。そこで、企業の与信情報の提供、テレマーケティング、名刺読み取りといったBPOサービスがホスティング型の「Dynamics CRM 4.0」上で提供されれば、分散していたこれらの情報が自動的にCRMアプリケーション内に統合され「シームレスなビジネスプロセスと情報活用が実現する(同氏)。企業情報の調査レポートやデータベースのサービスを展開しているダンアンドブラッドストリートTSRは、すでにDynamics CRMをベースとした取引先データの管理、活用ソリューションを販売しているが、「Dynamics CRM 4.0」でも企業情報サービスをホスティング型で提供する意向だ。
マイクロソフトの御代執行役員は「これまでのDynamics CRMのパートナーはコンサルティング事業者、リセラーが中心だったが、ホスティング型の追加で、プラットフォーム提供企業やBPO提供企業も新たなパートナーとなる。これら4つのタイプのパートナーのビジネスが相互に関連を持てるように、つなげる場を提供していきたい」と述べている。