GPSの信号が届きにくい屋内でも測位が可能

英CSRは、携帯電話の基地局情報などを使うことで測位性能を強化したGPS、「eGPS(enhanced GPS)」技術の発表を行った。BluetoothとFMラジオ機能をあわせて搭載したシングルチップの開発がすでに完了しているという。

現在、位置測定に用いられているGPS信号はあいまいで、位置の特定に時間を要する。だが、eGPSは迅速に一貫性のある位置情報を測定するうえ、屋内の位置情報も測定できる。そのため、価値の高い商用GPSサービス、緊急サービスなどに適しているという。

これに先駆けて、同社と米Motorolaは、eGPSモバイル機器における採用を評価・促進する業界団体「EGPS Forum」を設立することを発表している。今後、携帯電話メーカーやネットワークインフラベンダーなど業界各社の参加を呼びかける。

2社が立ち上げるフォーラムは、このeGPS技術を携帯電話などのモバイル端末に搭載するためのもの。可能性や効果を検証し、導入促進を図る。これにより、高度で精度の高い位置情報を必要とする規制当局、サービス事業者のニーズを満たすとしている。

フォーラムでは当初、衛星観測と携帯電話ネットワークを組み合わせたハイブリッド技術としてのeGPSを検証する。また、技術の互換性を確実にするインフラの確立も目指す。具体的には、2008年前半までに、eGPSのフィールド実験を開始し、パフォーマンスを検証するという。

同時に、携帯電話メーカー、位置情報サービス、ネットワークインフラプロバイダ、モバイルネットワークキャリアなどに参加を呼びかける。

CSRは、GPS、Wi-Fi、Bluetoothなど無線関連のチップを開発する半導体ベンダー。2007年にeGPS開発を進めていた英Cambridge Positioning Systems(CPS)を買収、eGPS技術を手に入れている。CPSはすでに、GSMなどセルラーネットワークと連携するeGPS技術の開発や実証実験を行っている。

携帯電話におけるGPS機能の搭載は、昨年より世界的に本格化している。たとえば、最大手のフィンランドNokiaは地図/GPS機能にフォーカスしており、地図サービスの米Navteqを買収するなど、GPSを使った地図サービスを強化している。