ヨーロッパではTGVやICEなどの高速鉄道網が整備されており、国を超えた国際列車も定期的に運行されている。中でもロンドンとパリやブリュッセルなどを結ぶ国際列車「ユーロスター(Eurostar)」は、ドーバー海峡の下を通る英仏海峡トンネルを利用して毎日約30往復が運行されている。では、海中深い海底トンネル内で携帯電話は利用できるのだろうか? Mobile World Congress 2008の帰途、パリからロンドンまでユーロスターに乗って試してみた。

ユーロスターの時刻表と1等片道乗車券(スタンプはパリで改札時に押されたもの)、駅で配布している荷物用のタグ。今回は「欧州の鉄道旅行手配に強い」という日本の旅行会社を利用して手配した

ロンドン側のセント・パンクラス駅に到着したユーロスター

海底部分は世界最長、英仏海峡トンネルを行き来するユーロスター

1994年に開業した英仏海峡トンネルは鉄道の専用トンネルである。全長は50.5kmで、これは日本の青函トンネル(53.85km)に次いで世界2位の長さを誇る。海底部分だけの距離では37.9kmとなり、青函トンネルの23.3kmを抜き世界最長だ。現在はユーロスターに加え、貨物列車などが運行されている。なおユーロスターの所要時間は最速でロンドン-パリ間が2時間15分、またロンドン-ブリュッセル間が1時間51分である。

ユーロスターの乗車券は、当日空きがあれば駅窓口で購入することも可能だが、混雑する恐れや満席の可能性がある。旅程が決まっているならばあらかじめユーロスターのWebサイトで予約したり、ヨーロッパの鉄道旅行に詳しい日本の旅行会社などで乗車券を購入しておくのもよいだろう。

パリ北駅からユーロスターに乗車する

今回はパリからロンドン行きのユーロスターに乗車してみた。ユーロスターのパリの始発駅は「パリ北駅」である。行き止まり式のホームを約20面備えた姿は、昔の上野駅の地平ホームを思い起こさせる雰囲気だ。ユーロスターは一番右側のホームとなる3~5番線から発車するが、EU外への国際列車ということからホームには仕切りがあり、改札なども「1F」(日本でいうところの2階)にある専用口から行う。

パリ北駅。歴史を感じさせる重厚な作りだ

地平ホームには長距離列車が頻繁に出入りしており、昔の上野駅を思わせる

ユーロスターは国際列車のため、改札を通ってそのまま乗車することはできない。チェックイン時間が決まっており、出発の30分前までに手続きを済ます必要がある。そのため駅には出発時間の45分くらい前には到着していたい。乗車した当日も、土曜の午後の列車ということもあってか、出発1時間前にはかなり長い列が出来ていた。

ユーロスターは右側の専用ホームを利用する

ユーロスターの改札口は1F(2階)にある

「Check-In」の表示に従い進んでいくと、まずは改札口がある。日本の新幹線のような自動改札機が設置されており、切符を通せばよい。なお、日本で発券した切符など自動改札機非対応の切符の場合はすぐ横の有人改札を通ればよく、この際切符にスタンプが押される。その先はすぐに出国審査窓口だ。ここでフランスを出国することになる。出国を抜けるとすぐにまた窓口があるが、今度はイギリスの入国審査だ。そしてイギリスの入国が終わればセキュリティチェックがあり、ようやく待合室に入ることができる。ホームへ移動できるのは列車の出発10~15分前なので、それまでは待合室で待機することになる。

「Check-In」の表示に従って進めばよい

ホームへの扉が開くまでは待合室内で待機する