携帯電話メーカ最大手のフィンランドNokiaは2月25日(現地時間)、英ケンブリッジ大と共同で開発したナノテクノロジデバイスのコンセプト端末となる「Morph」を発表した。原子レベルで制御するナノテクノロジを土台とし、柔軟性のある素材を用いることで「(これまでの)携帯電話をまったく別の形に変える」としている。

Morphは、ハエの体毛1本ほどの面積に1万ものトランジスタを搭載したナノテクノロジ端末。ナノテクノロジを利用することで、柔軟性のある素材、透明なエレクトロニクス、セルフクリーニングな表面を持つ端末を可能にした。

ナノ構造により端末はストレッチ性があり、開いたり折りたたんだり丸めたりといったことが可能。腕時計にも見えるブレスレットとして装着することもできる。ブレスレットとクリップ型の小型コントローラとして切り離して利用できるほか、壁紙を変えるように端末の全体の色や模様を自在に変えることができる。ユーザは生活のシーンに応じて端末の形や色を適応させられそうだ。

Morphの表面は3Dキーボードを採用、セルフクリーニング機能により汚れや水滴から保護する。これにより、端末の耐久性を改善し、寿命を長引かせることができるという。表面を「ナノグラス」構造で覆うことで、太陽電池の機能ももたせられるという。また、高密度ストレージ素材を利用することで、バッテリそのものも小型化・薄型化できるとしている。このほか、センサ機能を利用して近くにある物質を分析したり、空中にある特定の化学化合物を検出するなどのことも可能という。

MorphはNokiaのリサーチ部門であるNokia Research Centerの研究プロジェクトとしてスタートした。Nokiaは2007年3月にケンブリッジ大と研究開発で提携しており、以来、同大学内に施設を立ち上げ、ナノテク分野ではケンブリッジ大ナノサイエンスセンタと共同で開発を進めてきた。

Nokiaでは、Morphの技術要素は今後7年のうちに携帯端末に統合されていくが、当初はハイエンド端末のみに利用されるだろうと見ている。製造での課題が解決されれば大量生産が可能となり、価格が下がるだろうという。

Nokiaとケンブリッジ大は、Morphを米国ニューヨーク州にあるニューヨーク近代美術館で5月12日まで開催される「Design and The Elastic Mind」に共同出展している。