Wineプロジェクトは22日 (米国時間)、Windows互換アプリケーション実行環境の最新β版「Wine 0.9.56」をリリースした。LinuxやFreeBSD、Mac OS XなどUNIX系OS向けにビルド可能なソースコードのほか、各種Linux向けのバイナリパッケージが同プロジェクトのWebサイト経由で配布される。
今回のリリースでは、前バージョンの0.9.55に続きグラフィック関連機能が強化。メニューバー付きのOpenGL / Direct3Dウインドウが適切に扱えるようになったほか、描画の最適化が行われた。インストーラに発見された問題箇所の修正や、MIMEメッセージのサポート強化など、多くの改良が施されている。
Wineを巡っては、Picasa Linux版の開発を進めるにあたり、GoogleがWineプロジェクトのスポンサーであるCodeWeavers社に資金提供を行っていることが、Wine 1.0のリリースマネージャーを務めるDan Kegel氏のブログで明らかにされた。Kegel氏はその成果としてPhotoshop CS / CS2やFlash 8がWine上で動作するようになったことを挙げ、グラフィック関連機能の互換性向上へ注力する方針についても述べている。
Wine 0.9.56のリリースと前後して、オリジナルWin32 APIの開発元であるMicrosoftが仕様の公開を開始したが、Wine開発コミュニティのフォーラムやメーリングリストには目立った反応が見られない。従来はリバースエンジニアリングなどの手法で解析しなければならなかったため、仕様書の公開を歓迎する声がある一方、Win32 APIがオープンソース化されたわけではないことから、享受できるメリットは限定的と冷静に受け止めているようだ。