米Microsoftは2月21日 (現地時間)、同社の主要製品のオープンネスを高め、相互運用性を向上させることで、開発者やパートナー、さらには業界規模の成長を促す技術および事業運営の新戦略を発表した。相互運用性に関して以下の4原則を設け、主要なハイボリューム製品に適用する。

  • オープン・コネクションの確保
  • データ・ポータビリティの促進
  • 業界標準サポートの強化
  • 顧客やオープンソースコミュニティ、産業全体との対話や協調した取り組み

「これらの原則はテクノロジや製品に関して、われわれの情報共有の方法を大きく変えるものだ。開発者やパートナー、顧客、競合他社の選択とビジネスチャンスを拡大する。われわれの長期的な目標の1つにつながる変革だ」とServer and Tools部門担当のシニアバイスプレジデントであるBob Muglia氏。

Chief Software ArchitectのRay Ozzie氏は、エンタープライズ・アーキテクチャが不均一であるゆえに、アプリケーションやサービスをまたがった相互運用性が重要要件になると指摘する。「顧客は全てのベンダー、特にMicrosoftに対して、開発者がオープンなインターフェイスとデータを用いて効果的にアプリケーションを統合または新しいソリューションを作り出せる柔軟なソフトウエアとサービスを求めている。われわれは製品のオープンネスを向上させることで、開発者が革新を生み出し、顧客により大きな価値をもたらすチャンスを提供する」と述べる。

30,000ページ以上のドキュメントをMSDNで公開

相互運用の新原則は、 Windows Vista (含.NET Framework)、Windows Server 2008、SQL Server 2008、Office 2007、Exchange Server 2007、Office SharePoint Server 2007などが対象となり、これらの将来のバージョンにも反映される。

具体的には、サードパーティ製品とのオープン・コネクションを向上させるために、Microsoftは対象製品のAPIと通信プロトコルのドキュメントをWebサイトを通じて公開する。開発者がこれらの情報にアクセスするためにライセンスを受けたり、使用料を支払う必要はない。「(対象となる)ハイボリューム製品に他のMicrosoft製品がインターオペレートするのと同様の方法を、全ての開発者に提供する」とInteroperability and Standards担当のゼネラルマネージャーであるTom Robertson氏は説明する。第1段階として同社は、これまでMicrosoft Work Group Server Protocol Program (WSPP) とMicrosoft Communication Protocol Program (MCPP)で提供していたWindowsクライアントとサーバのプロトコルに関する30,000ページ以上のドキュメントをMSDNで公開する。Office 2007など残りの製品についても、今後数ヶ月中に技術情報の公開を開始するそうだ。ドキュメントではMicrosoftが所有する特許を明示し、ライセンスに関する情報を提供する。なおオープンソース開発者に対しては非商用目的などの条件を満たした場合、開発への利用を認める特例を用意する。

Microsoftの業界標準サポートの透明性を高めるために、開発者コミュニティに向けて標準対応方法を具体的に記したドキュメントを用意し、Webサイトで公開する。ドキュメント形式については、開発者が追加フォーマットのプラグインを開発し、ユーザーが多様な形式をデフォルトの保存方法に用いられるように、Office 2007のWord/ Excel/ PowerPoint用に新たなAPIを追加する。

オープンソースを含む開発者コミュニティに対して、Open Source Interoperability Initiativeを用意し、市販製品、コミュニティベースのオープンソース技術、Microsoft製品の相互運用を向上させるためのリソースや施設、イベントなどを提供する。またオンラインのInteroperability Forumを通じて顧客、開発者、オープンソースコミュニティとの対話を促進し、様々な形式間のデータ交換の問題を解決する場としてDocument Interoperability Initiativeを発足する。

なお相互運用の新原則はMicrosoftやIT産業を取り巻く法的な状況の変化を反映したものであり、2007年9月に European Court of First Instance (CFI)が下した判決へのMicrosoftの対応を前進させると付け加えている。