中国でインターネットに関する調査研究を行っている 中国インターネットネットワーク情報センター(中国互聯網絡信息中心、CNNIC)がこのほど、中国におけるインターネット発展状況に関する統計報告書である「第21次中国互聯網絡発展状況統計報告」を発表した。
同報告書は毎年2回公表され、中国においてインターネット事情に関する最も権威あるレポートの1つとされている。本レポートはこの報告書を踏まえ、中国のインターネットに関する最新事情と問題点を明らかにしていきたい。
全ネットユーザーの4割が農村地域に
報告書ではまず、2007年12月31日時点で中国のネットユーザー(網民)人口が2億1,000万人に達し、米国の2億 1,500万人に次いで世界第2位となったことを明らかにしている。
ネット人口は昨年1年間だけで前年比53.3%増の7,300万人に達したが、これは、毎日平均20万人増加するという驚異的なスピードである。CNNIC研究部主任の劉氷氏は、2007年の増加率が維持されれば、中国のネット人口は2008年末には2億8,500万人となり、米国を抜いて世界一になるとの見通しを示している。
農村部におけるネット人口の増加率を見ても、前年比127.7%の伸びを示し、全国平均の倍以上の増加率となっている。2007年に増加した全国の新たなネット人口7,300万人のうち、4割にあたる2,917万人が農村地域という計算になる。
農村におけるネット人口の増加は、「村村通電話(日本語訳は「どこの村でも電話が通じる」)」、「郷郷能上網(同「どこの郷でもネットにアクセスできる」)」、「郷郷有網※ (同「どこの郷にもウェブサイトがある」)」といったスローガンを掲げる国レベルでの情報化プロジェクトによってサポートされており、農村地域が中国における巨大なインターネット市場として浮上してきている。
※は「立」の右に「占」
IPv4アドレスは米国、日本に次ぎ世界3位
また、インターネットへの接続方式をみると、全国のネットユーザーの77.8%にあたる1億6,300万人がブロードバンドを使っており、前年比で5,938万人増加した。有線におけるブロードバンド人口の増加傾向に対し、携帯電話など無線ナローバンドを使うユーザーも増加している。 ネットユーザー全体の約24%にあたる5,040万人が、これらの方式を場所に応じて使い分けており、接続方式の多様化が進んでいることが分かる。
証券情報メディア大手の中国証券報は、これらの報告を踏まえ、中国のブロードバンドユーザー数が近く世界一になると報道。さらに同報告書によれば、2007年末時点のウェブサイト数は前年比66万サイト増の150万サイトで、増加率は78.4%に達したとしている。
ドメイン数も急増している。昨年末時点で中国のドメイン数は前年比782万増の1,193万となり、この中でも、中国ドメイン(CNドメイン)数の急激な増加が世界的にも注目されている。
1,193万ものドメインのうち、900万がCNドメインで、年間増加率は300%にもなっている。ドメイン総量で国別に比較すると、CNドメイン数は、ドイツのDEドメインの1,128万に次いで、世界第2位となっている。昨年と同様の増加率が維持されれば、CNドメイン数が今年中にDEドメイン数を超え、世界一になることは間違いないだろう。
また、中国が持つIPv4アドレスも2003年以来増加の一途をたどっており、2007年末には、前年比1,702万増の1億3,527万に達し、米国、日本に次ぐ、世界第3位となっている。