富士通テンは、同社が開発した「次世代音響空間コントロールシステム」が、18日にフルモデルチェンジされたクラウンのメーカーオプション「トヨタプレミアムサウンドシステム」に採用されたことを発表した。
車内の環境は、反射の大きな窓ガラスや、逆に音を吸収しやすいシートの存在、そして狭い空間など、音楽再生に向いているとは言いにくい。「次世代音響空間コントロールシステム」は、これらの悪条件の中に、理想的な音響空間を構築するためのシステム。
まず、窓からの反射音を消すために、ノイズキャンセリングヘッドホンのように、反射音と逆位相の音をDSPにより作り出し重ね合わせる。さらに、自然な残響音を出すために、シートや天井などに吸収されてしまう残響音を補完する。これらを実現するために、トヨタプレミアムサウンドシステムでは、天井やシートなど、車内に計18台のスピーカーを搭載する。中でも、天井用には、超薄型のTPDS(Ten Planar Dynamic Speaker)と呼ばれる専用スピーカーを新たに開発している。また、メインスピーカーは、同社で販売するタイムドメイン理論スピーカーでのノウハウを応用し、フローティング構造で取り付けられている。同社によると、これらの組み合わせにより、車内特有の不自然さがなくなり、広いリスニングルームで聴いた場合と同じような音響効果が得られるとのことだ。
なお、スピーカーの設置位置、台数、反射音や残響音のコントロールは、車の種類によって条件が異なってくる。今回採用されたトヨタプレミアムサウンドシステムは、新型クラウンの車内の音響特性に合わせて開発されたもので、他の車にそのまま乗せることは不可能だ(別の車種向けも開発中とのことだが、スピーカーの台数や配置は変わってくるとのことだ)。
なお、トヨタプレミアムサウンドシステムは、5.1chに対応したDVDビデオ/オーディオ/CD/MD/FM/AMラジオなどが組み合わされたメーカーオプション。参考までに、神奈川トヨタ自動車のサイトによると、8万9,250円の価格が付けられている。