毎日コミュニケーションズは、マイコミ新書シリーズの新刊「ケータイ小説がウケる理由」(吉田悟美一・著)を20日に発売する。携帯電話のコンテンツとして若い女性を中心に人気を集め、書籍化・映画化でのヒットも見られる「ケータイ小説」について、その特徴とビジネス展開の可能性を探る。全224ページで780円(税別)。
ケータイ小説とはどのような特徴を持つコンテンツなのか、既存の小説と本質的に異なるのはどこか、なぜヒットし、今後どのようなビジネス展開を見せるのかを分析・展望する。作品論・文学論的なアプローチではなく、ケータイ小説の読み手である女子高生・女子大生、作り手であるケータイ小説家、そしてコンテンツプロバイダなどへのインタビューを通じて、ケータイ小説を取り巻く状況のありのままを伝える。
ケータイ小説には、女子高生が読むには過激なテーマの作品も一部にあり、また従来の小説と比較した場合「表現がつたない」「似たり寄ったりの内容」といった評価もあるため、大人の視点からはネガティブなものとして見られることも多いが、これを「稚拙な文化」として片付けていてはこれからの社会、ビジネスを正確に理解することはできないと著者は論じる。マスメディアを使った宣伝などの大規模なマーケティングが存在せずとも、携帯電話を通じたコミュニケーションの中でブームが自然発生したことに注目すべきであり、また作品自体も"小説"というより、本質的にはメールや日記の延長線上に生まれてきたものとして考察している。
序章を含め全7章からなり、ケータイ小説がブームになるまでの足跡の解説、読者・作家・関連企業へのインタビュー、ケータイ小説がウケるポイントの説明などで構成。最終章は「ケータイ小説は次世代マーケティングだ」と題し、ケータイ小説をユーザー参加型のビジネス成功例として位置付けている。