「DHARMA TACTICAL PAD SOFT TYPE」と「DHARMA TACTICAL MOUSE」

マウスパッドにこだわりを持つ人は少ない。キャラクターが描かれた製品を購入したり、パームレスト付きの製品を選んだりする程度で、ほとんどのPCユーザーは安価な製品や無料の販促物で充分だと考えていることだろう。しかし、マウスパッドの性能に人並み以上にこだわる人々がいる。対戦ゲームのプレイヤーだ。彼らは勝つためのアイテムとしてマウスパッドを選ぶ。DHARMAPOINTの「DHARMA TACTICAL PAD」はそんなPCゲームプレーヤー向けに開発された"高性能"マウスパッドだ。

よくすべる。よく止まる。

ゲームプレイヤー用マウスパッドDHARMA TACTICAL PADにはハードタイプソフトタイプの2種類があり、今回はソフトタイプの「DHARMA TACTICAL PAD SOFT TYPE」を試した。DHARMAPOINTによると、ハードタイプはマウスのカウント数を高くしてゲームをプレイする人向けで、ソフトタイプはマウスのカウント数を低くしてゲームをプレイする人向けだという。

サイズはどちらも400mm×300mmで、一般的なマウスパッドよりも大きい。このサイズにまず驚かされるが、ゲーム用マウスパッドとしては普通のサイズである。一般的なB5サイズのマウスパッドでは、ゲームプレイの激しい動きでマウスがパッドから飛び出してしまう。そんなことになればゲームの操作は激しく乱れてしまい、勝機を逃す。ゆえに海外製のゲーム用マウスパッドも大きめのサイズが多く、「DHARMA TACTICAL PAD」より大きなタイプもいくつか存在する。いずれにせよ、このマウスパッドを使うためには机の上を片付けておく必要がある。

マウスパッドの必要条件は、マウスカーソルを正確に動かすことにある。ボールタイプのマウスを使った場合、表面が滑りやすい素材ではボールが回転せず、マウスカーソルを意のままに動かせない。光学式マウスやレーザーマウスの場合、表面が単色で滑らかな素材ではセンサーが認識できず、マウスカーソルが動かない。ゆえに、マウスパッドは一般的に適度にざらついた素材で作られている。ところが、ざらつきにも限度があって、摩擦係数が高くなるとマウスの挙動が重くなったり、手首や腕に負担がかかってしまう。マウスが滑りやすいことと、マウスカーソルが正確に動くことは相反する条件だ。摩擦係数の最適なチューニングのために、素材や加工を極めることがマウスパッドの性能を決める。

400mm×300mmサイズ。表面はナイロン織布

DHARMA TACTICAL PAD SOFT TYPEの表面は、ナイロンをきめ細かく編んだ布だ。ナイロンは滑りやすい素材だが、細かく編みこむことで微小な凹凸を造り、マウスのセンサーに反応させる。網を貼るのではなく織り込んだ素材にすることで強度と耐久性を増しており、かなり高級な仕上げだといえるだろう。実際にDHARMAシリーズのマウス「DHAMA TACTICAL MOUSE」を載せて操作してみると、まるでエアホッケーのパッドのようによく滑る。しかしマウスセンサーのトラッキングは正確で、思い通りの場所でピタッと止められる。ゲーム用とはいえ、マウスの操作時間が長く肩こりが激しいという事務職の人も、高性能マウスパッドの使用をお勧めしたい。

手と腕に優しい4層構造

DHARMA TACTICAL PAD SOFT TYPEは、表面以外の素材にもこだわっている。前述の通り表面はナイロン織、その下にはクロロブレンラバー、その下に低反発ウレタン、そして滑り止めのラバーがある。この4層構造はマウスパッドとしてはかなりこだわった作りこみだ。市販のマウスパッドのほとんどは表面素材と裏面素材のみの2層であり、ゲーム用など高級マウスパッドでも3層のものがほとんどである。DHARMA TACTICAL PAD SOFT TYPEにおいて中間に2層を設けた理由は、クロロブレンラバーによって表面層に硬度を与え平面を保ち、低反発ウレタンによって対衝撃性を高めると共に、机の上の凹凸を吸収するためである。なんと贅沢な構造だろうか。

4層構造で快適なマウス操作を可能にした

筆者はうっかり、というよりも、マウスパッドの大きさゆえにキーボードをマウスパッドに載せて使っていた。数時間後にキーボードをどけてみたところ、マウスパッドの表面がキーボードの足の部分の形にくぼんでいた。借り物なので、どうしたものかと困っていたら、少しずつ形状が回復し元通りになった。低反発ウレタンは想像以上にやわらかい。マウスパッドの耐衝撃性と言われてもピンと来ないけれど、マウスを少し持ち上げ、落とすような使い方をした時にとても静かだ。マウスの操作はこのような小さなインパクトの繰り返しだから、長時間使用したときの疲労感はかなり軽減されていると思われる。ロールプレイングゲームやリアルタイムシミュレーションなど、1時間以上も連続したプレイにおいて、かなり快適なマウスパッドだといえる。最下層の滑り止めラバーの加工も細かく手が込んでいる。

DHARMA TACTICAL PAD SOFT TYPEの価格は、同社オンラインショップ「FLIPClick」で2,980円だ。「マウスパッドなんて販促の景品でもらえるのに、約3,000円も払うなんて」と思う人もいるだろう。しかし、一度使い始めると、もうペラペラのマウスパッドに戻れなくなるほど快適だ。むしろゲーム用マウスパッドの中では良心的な価格設定だとも言える。そして何よりも、上記のような薀蓄が語れるマウスパッドは他にはない。ゲームプレイヤーだけではなく、モノ選びにこだわりを持つ人はぜひ手に入れてほしい。