スペイン・バルセロナで開かれている「Mobile World Congress 2008」にあわせて英Sony Ericssonは10日(現地時間)、最新の携帯電話7機種を発表した。中でも注目は新サブブランド「Xperia」の発表だ。第1号機となる「X1」ではWindows Mobileを採用し、ユーザー層の拡大を図る。
米Motorolaが伸び悩む中、同社を抜いて「ナンバー3入り」を目標に掲げるSony Ericssonは、端末だけではなく「PlayNow」のようなサービスの拡充なども戦略的に進めている。Xperiaをはじめとする今回発表の機種は製品ポートフォリオの拡大となり、Sony Ericssonにとって大きな飛躍となる。
新サブブランド「Xperia」でコンバージェンス分野に拡大
最も注目を集めたXperiaは、Sony Ericssonのコンバージェンス端末向けブランドだ。コンバージェンス端末はWeb、マルチメディア機能、複数の無線技術のサポート(無線LAN等)などが特徴で、最大手のNokiaが「Nseries」を展開するなど各社が注力している分野となっている。
製品ポートフォリオ・プロポジション担当コーポレートバイスプレジデントのRikko Sakaguchi氏 |
Xperiaを発表した、同社製品ポートフォリオ・プロポジション担当コーポレートバイスプレジデントのRikko Sakaguchi氏は、Sony Ericssonが掲げている「UX」というテーマを紹介した。UXはUser eXperienceのことで、それに対する同社のコミットを宣言するものだという。キーワードは、リッチ/マルチメディアコミュニケーション、シームレスなエクスペリエンス、NtoNのソーシャル機能、使いやすさなど。写真や音楽の管理など生活全体をサポートするシームレスで統一されたマルチメディアコミュニケーション、感覚にアピールするエモーショナルなデザインなどを特徴とし、Walkman、Cyber-shotなど既存の製品ラインを補完するものと位置づける。今後3~5年、この分野が重要になると見ているようだ。
第1号機となる「Xperia X1」ではプレミアム端末を目指した。OSに米MicrosoftのWindows Mobileを採用、3.2メガピクセルカメラを背面に搭載する。サイズは、110×53×16.7mm、重さは約145g。3インチのVGAタッチパネル画面をスライドすると、フルQWERTYキーボードが現れる。W-CDMA/HSDPA、無線LAN、A-GPSをサポート、内蔵フラッシュメモリは400MBでmicroSDカードにより拡張できる。
特徴はユーザーインタフェースだ。画面は作業ごとに「パネル」として分割可能。使いたいパネルをタッチして選択できる。パネルは100以上作成可能だが、画面に表示できるのは9つまでとなる。スタイラスペンによる入力も可能で、画面下(スライド部分を開いた場合は画面横)の中央ボタンは光学マウスのようにナビゲーションやクリックができ、操作をスムーズにするという。UIと利用方法で「独自のフィーリングを提供する」と自信を見せる。
これまで同社はスマートフォンのOSとして、投資先でもある英SymbianのOSのみを採用してきた。Windows Mobileの採用は大きな方向転換となる。これについては「われわれはOSではなく、コンシューマエクスペリエンスを提供する。X1ではWindows Mobileが最適だった」とSakaguchi氏は説明する。今後のXperiaでもWindowsを採用するかについては明言しなかった。
X1は今年後半に投入の予定。日本市場での展開予定はないという。