文部科学省はこのほど、深刻化する"ネットいじめ"を防止するため、保護者を主な対象にした緊急アピールを行った。同アピールは、ネットいじめを発見するための「チェック体制の強化」やネットを利用する際の「ルールづくり」など4つの項目からなっており、内容を要約したリーフレットを、全国の幼稚園や小・中・高校、PTA組織などに配るとしている。
ネットいじめについては、全国の小中高校生を対象に同省が調査した「2006年度 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」において、いじめの認知件数12万4,898件のうち、全体の約3.9%にあたる4,883件が「パソコンなどで、誹謗中傷や嫌なことをされた」とする、いわゆる"ネットいじめ"だった。
ネットいじめが行われる場として、学校の公式ホームページとは異なる、児童や生徒が管理する学校関連のブログや掲示板、いわゆる「学校裏サイト」が温床となっていることが指摘されており、大きな社会問題となっている。
深刻化するこうした問題に対し、文部科学省では「子どもを守り育てる体制づくりのための有識者会議」で昨年9月からネットいじめに関する現状や対策を議論しているが、今回、事態が緊急性を増していると判断、保護者を主な対象とした呼びかけを行うことにした。
呼びかけの内容は、以下の4項目となっている。
- 子供たちの携帯電話やインターネット利用実態の十分な把握
- 家庭におけるインターネットや携帯電話の利用の際のルールづくり
- ネットいじめを早期発見するための、学校などと連携したチェック体制の強化
- 書き込みの削除など、いじめ被害に遭った子供へのフォロー
さらに1の項目では、子供が利用可能なネットの中身を十分に把握し、ネットに潜む危険性を教えること、2では、危険回避の方法や著作権に関する知識など情報モラルを教えることを保護者に求めている。また、3に関しても、ネット上の書き込みなどをチェックする体制の確立を求めている。
リーフレットではさらに、いじめ相談ダイヤル(0570-0-78310)や、フィルタリングサービスを紹介するWebサイトなども紹介、これらの活用も呼びかけている。
同省 初等中等教育局 児童生徒課 生徒指導企画係長の片山達也氏は、「ネットいじめ対策は早ければ早いほうがいいと考え、今回保護者に呼びかけることにした。有識者会議などでも議論が進んでおり、同会議の提言なども生かしながら、ネットいじめを防止していきたい」と話している。