全米の映画業界やTV業界を揺るがせていた、全米脚本家組合によるストライキがようやく終結した。Writers Guild of America, West(WGAW)とWriters Guild of America, East(WGAE)は2月12日(現地時間)、同組合員に対してストライキの終結を問う投票を行い、92.5%の終結賛成票を得たと発表した。投票に参加したのは全米約1万人のアクティブ組合員のうち3775人。こうして昨年11月5日からスタートした脚本家による100日間のストライキは終焉を迎えることになった。
同ストライキは、映画やTVコンテンツの脚本家らが制作会社に対して報酬の引き上げを求めて起こしたもの。映画産業やTVは従来の上映/放送やDVD販売だけでなく、ネット配信などの新たな収益手段を見つけつつあるにもかかわらず、こうした収益が脚本家らに還元されていないことをその理由としている。今回のストライキ終結にはあたってはこのネット配信の取り扱いが争点となっており、WGAと制作スタジオ幹部らとの間で報酬引き上げの暫定合意が取り交わされた。この合意により、最初の2年は1シリーズ物あたり最大1,200ドルの一律報酬が、以後3年目からは収益の2%が支払われることになった。
だがストライキの爪痕は大きく、AP通信などの欧米メディアの報道によればロサンゼルス全体のストライキによる経済損害は32億ドル、制作が中止されたTV番組は60以上に上ったという。脚本のストップにより完成時期が延びた映画もあるといわれ、今後もさらに影響が出てくるとみられる。前出の経済損失についてはコンテンツ制作費用だけでなく、ロサンゼルス周辺のリムジン会社、レストラン、花屋、ホテルなど、多岐にわたる業種での被害も合算している。報道によれば、1988年の5億ドル規模の損失を出したストライキ以来、20年間で最悪の事件となったという。
脚本家の一部には12日の終結宣言を待たず、すでにオフィスに戻って中断した番組や映画の制作の準備に取りかかっている者もいたという。他の組合員らも13日からすぐに制作現場へと戻り、3カ月以上にわたったストの遅れを取り戻すべく動いている。24日にハリウッドで予定されているアカデミー賞(オスカー)授賞式も予定通り実施される見込みで、2週間後の大イベントに向けて急ピッチで準備を進めることになる。