東京新聞は、17日の東京マラソン2008の開催を記念したフォーラム「東京マラソン2008開催記念 マラソンの新しい可能性 幅広い社会貢献を目指して」を催した。バルセロナ、アトランタ五輪のメダリスト・有森裕子氏の基調講演のほか、同氏と東京マラソン事務局長佐々木秀幸氏らによるパネルディスカッションが行われ、マラソンを通じた社会貢献の可能性などが話し合われた。
「夢を力に」と題して行われた有森氏による基調講演では、「体も弱く運動も勉強も『他人よりもできない自分』が、何か自信を持てるもの、できることを探し出した結果、走ることにたどり着いた」とマラソンを始めた経緯を説明。「自分にとって走ることが生きる道をつくること」だったと、走ることへの想いを語った。その後、教員の道から実業団入りしたことなどを振り返り、競技者として脇目もふらず努力してきたことや、3位入賞を果たしたアトランタ五輪後のNPO活動、国連人口基金親善大使を務めるといった同氏の社会貢献事業への取り組みについて述べた。
基調講演に続くパネルディスカッションでは、東京マラソン事務局長の佐々木秀幸氏、スポーツアナウンサーの深山計氏が参加。佐々木氏は「日本人の多くが、人生をマラソンと重ね合わせて見ている」ことを取りあげ、世界の大都市で行われているマラソンを参考に日本人のマラソン好きを社会貢献につなげていくためのプランが必要性を言及した。
「印象に残ったマラソン大会は?」との問いに対して、有森氏は2000年のニューヨークシティマラソンを挙げ、「地元の人が楽しみにしていることが伝わってきた」とその印象を語り、「マラソン大会がランナーのためだけでない」ことを表すよいモデルと指摘。また深山氏も「ベルリンやニューヨークのマラソンでは、マラソンだけではなく、アートフェスティバルなども同時に開催されている」と述べ、「(マラソンは)みんなで一緒に楽しもうという雰囲気がある」と語った。
最後に有森氏は「スポーツイベントは社会的な問題をアピールできる絶好の機会です。マラソンは単なるスポーツではなく、さまざまな問題をアピールでき、社会貢献につなげていける大きな可能性を秘めています」と、マラソンの持つ幅広い社会貢献の可能性について再度訴え、フォーラムは幕を閉じた。
多くの人が参加し関わることで、社会貢献の新たな可能性が見えるマラソンイベント。同フォーラムの来場者の多さやパネリストたちの発言からも、東京マラソン2008に対する様々な期待が集まっていると言えるだろう。