スペイン・バルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2008」でLG電子は、タッチスクリーン型の携帯電話新製品を一挙公開した。「LG-KF510」「LG-KF600」「LG-KF700」の3機種で、いずれもスライド型のボディを採用している。
LED表示のタッチパッドを搭載した「LG-KF510」
LG-KF510は、厚さわずか10.9mmというスリム携帯だ。"スリム"というと華奢で弱いイメージもあるが、LG-KF510の場合はメタルフレームと強化ガラスにより頑丈さも加味されている。
メイン画面下に設けられたスペースが特徴的だが、これは同社の「インタラクティブ・タッチ・ライティング」技術が適用された「LEDタッチパッド」だ。ここを指で触れた際、その移動方向を認識し、指の動きに応じてアイコンが矢印模様やチェック模様などに変化するようになっている。触れた際は軽い振動も起こる。
さらに、「ALC(Auto Luminance Control)」技術を搭載。メイン画面とLEDタッチパッド、および数字キーパッドの照明の輝度を、周囲の環境に合わせて自動的に調節してくれるので、バッテリー消耗を抑える効果がある。
色は「スターダストダークグレー」「サンセットレッド」の2種類で、背面がグラデーションになっているのも特徴だ。
タッチ操作用の専用サブ画面を備える「LG-KF600」
LG-KF600では、2.0インチのメイン画面下に、タッチ操作に対応した1.5インチのサブ画面を設けた。サブ画面には、発信/終話やメールといった、これまではボタンで操作していた機能のアイコンが現れる。このアイコンに触れながら、メイン画面に出るメニューなどを操作するのだが、LG電子ではこれを「インタラクティブパッド」と呼んでいる。
アイコンは触れるたびに大きくなって軽い振動が起こるほか音も出るので、間違ったアイコンを押してしまうということが極力避けられるようになっている。またこのインタラクティブパッドのアイコンにはテーマごとに8種類があり、これを変えると同時に待ち受け画面やメニューなども同じテーマのものに変わって、統一感ある操作が可能となっている。
ダイヤル型コントローラーでの操作も備える「LG-KF700」
LG-KF700は、3インチワイドという大型のタッチスクリーン、スライドアップすると出てくる数字キー、そして背面にあるショートカットダイヤルと、3つの入力装置を併せ持っているのが特徴だ。ショートカットダイヤルは、それを回すことでユーザーが設定した6つの機能を選択・起動できるほか、Webサイトなどを見る際にズームイン/ズームアウトすることも可能になっている。
高成長、"タッチ携帯"にかける
LG電子がタッチ携帯にこだわるのは、同社が2008年に「携帯電話機能のシンプルな使用感/製品デザインの革新的な変化とスリム化/個人に合わせたユーザーインタフェースの実現」という、3つの観点から利用者の利便性を上げ、携帯電話の利用パターンを画期的に変えたいと考えているからだ。
このような考えに基づき同社では今年、300米ドル(約3万3,000円)以上のプレミアム価格帯において、タッチ技術適用製品を10種以上も発売するとしている。タッチスクリーンのプレミアム携帯といえば、同社の場合2007年の「プラダ携帯」が世界的にヒットしたことで有名だが、ブランドとの提携ではないにしろ、2008年にはこれに類似もしくはこれをさらに進化させたような携帯電話が多く発表されることになりそうだ。
また長い目で見た場合は、プレミアム製品に限らず、300米ドル以下の製品にもいずれはタッチ方式を適用していき、顧客層を広げていきたいと述べる。
そしてLG電子といえば、日本でも販売されている「chocolate」を始めとする、デザイン性の高い高級携帯「Black Label」シリーズだ。同社では同シリーズの後継機種を今年第2四半期中に発表する予定でもあるという。
同社携帯電話部門の2007年実績を見ると、売上額は10兆4,759億ウォン(1兆1,900億円)で、他部門も合わせた全体の売上額の25%以上を占めるまでに膨らんでいるほか、営業利益は2006年の739億ウォン(約84億円)から約12倍の8,889億ウォン(約1,010億円)となっており、飛躍が目立っている。同社ではこの勢いを維持し、2008年は売上額および営業利益を2007年比20%以上成長させたいと目標を掲げている。こうした高い目標を実現する戦略のひとつが、今回の展示会で披露された数々の"タッチ携帯"であるといえる。