スペイン・バルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2008」でSamsung電子は、同社のプレミアム携帯電話シリーズ「Ultra Edition」の「完結版」(Samsung電子)という「SOUL」を発表した。SOULは「the Spirit Of ULtra」の略で、デザインと技術とが完全な調和をなしたウルトラエディションの魂、Samsung電子による職人魂を持つ携帯電話という意味がこめられているようだ。
厚さ12.9mmというスリムなスライド型で、本体はメタル素材となっている。2.2インチ QVGAのメイン画面の下には「マジックタッチキーパッド」を配置。このタッチキーパッドは、利用する機能によって異なるアイコンに変わる「DACP」機能が内蔵されている。たとえばカメラを利用する際はズームなど、音楽プレーヤーを利用する際は再生/停止などといった具合に、利用する機能に合ったアイコンが登場するというものだ。
画面上のメニュー配置やアイコン形態は、携帯電話の操作感を決定する大事な要素だが、SOULではこれらに関して3つのテーマのUIを提供して、ユーザーの選択肢を広げている。さらにユーザー自身の好みによってメニューやアイコンを変えられる「Personal UI」機能も備えているという。
このほかカメラは500万画素で、WVGA(800×480)で撮影可能。パワーLEDを利用したフラッシュ機能のほか、センサーにより人の顔を認識する「自動顔認識機能」や手ぶれ防止機能、暗い場所でも明暗を自動調整できるワイドダイナミックレンジ機能、オートフォーカスなど、カメラ機能を充実させている。
音楽機能では、デンマークのオーディオメーカー・Bang & Olufsen(B&O)による「ICE デジタルパワーアンプ」およびヘッドセットを提供するなど、こちらも質にこだわった機能を搭載した。対応ファイルもMP3/WMA/e-AAC+/MIDI/imelody/WAV/MMFと多様だ。
また、Bluetooth 2.0およびUSB 2.0に対応しているほか、外部メモリとしてmicroSDカードスロットを搭載。FMラジオの受信も可能だ。
モバイルプロジェクターやMobile WiMAXの試演も
今回の展示会でSamsung電子は、単に端末を展示するだけではなく、携帯電話やその他の技術に関連した、さまざまなデモンストレーションも行っている。
そのひとつが「モバイルプロジェクター」(MBP-100)だ。これは、小さな携帯電話の画面に映し出される内容を、大きな画面に見せられるようにする小型プロジェクターで、サイズは煙草の箱程度。これを携帯電話につなぐと、モバイル用放送や、写真や動画をはじめとした各種ファイルなどを大きな画面で見ることができる。動画を大画面で楽しめるのはもちろん、PowerPointのプレゼンテーションを拡大して見せるなど、ビジネスの場でも利用できる。
画面の拡大は、通常の室内環境では10インチ程度まで、暗い場所では50インチまで可能となっている。VGAクラスの画質で、携帯電話では見えにくかった細かな部分まで見ることが可能だ。まだ携帯電話だけでなく、ノートPCやカムコーダーなど、さまざまなデジタル機器との連動も可能となっている。
また、モバイルWiMAXの展示スペースも別途設けた。ここでは同社による端末を使い、Alcatel-LucentによるGSMネットワークと、Samsung電子によるモバイルWiMAXネットワーク間のハンドオーバーを実演しているという。2つのネットワークを行き来しながらストリーミングビデオ鑑賞などができるようになっているわけだが、モバイルWiMAXの技術を欧州市場にアピールするのに大変有用だと、同社では期待をかけているようだ。
今年の携帯販売目標は2億台以上
2008年、Samsung電子が目標とする携帯電話の販売台数は、2007年比で25%増の2億台以上だ。同社は2007年には、2006年比40%以上増の1億6,100万台を売り上げ、世界市場でのシェア2位の座を確固たるものにした。成長を続ける携帯電話市場は、半導体と並んで同社の売り上げを支える大切な事業となっている。
このため、デザインと機能を併せ持つSOULのようなプレミアム機種を拡大していくことは、同社のブランドイメージを固定するためにも大変大切なことと考えているようだ。2007年には"アルマーニ携帯"や、人気歌手のビヨンセと提携した「B'Phone」など、個性的で差別化された携帯電話を発表してきた同社だが、2008年もこの路線は継続されるものと考えられる。