四半期決算を発表するソフトバンクの孫正義社長

ソフトバンクは7日、2007年度第3四半期の連結決算(2007年4月-12月通算)を発表した。売上高は前年同期比2,363億円(13.0%)増の2兆587億円、営業利益は同629億円(31.9%)増の2,601億円、当期純利益は712億円(324.9%)増の931億円で増収増益だった。

主力となった携帯電話事業が、2007年5月から純増数首位が続くなど好調に推移。契約増と携帯電話の販売台数増が売上・利益をともに押し上げた。ソフトバンクモバイルの携帯電話事業は、売上高が前年同期比20.3%増の1兆2,205億円、営業利益が同30.3%増の1,479億円。ただし、比較対象となる2006年度の同期は、旧ボーダフォンが連結対象となったのが2006年4月末だったため、2006年5-12月の8カ月分が対象となっている。

2007年度第3四半期(2007年4月-12月通算)の決算概要

その他の事業では、「Yahoo! BB」などのインターネット接続サービスが含まれるブロードバンド・インフラ事業と、ソフトバンクテレコムの固定通信事業で、それぞれ売上高が微減したが、経営効率は改善。ブロードバンド・インフラ事業で営業利益が前年同期比56.0%増となり、固定通信事業では17億円の営業黒字を確保(前年同期は23億円の営業損失)した。ヤフーのインターネット・カルチャー事業は好調に推移して増収増益。ソフト流通などのイーコマース事業はわずかに増収だったが、利益率の高いソフトの販売伸び悩みと法人向けサービスへの先行投資で約4割の減益。そのほか、今期の純利益には中国の関連会社Alibaba Group Holding傘下のAlibaba.comが上場したことによる、営業外収益572億円が含まれている。

当期の事業別売上高(事業間の社内振替分を除く)

決算発表会でソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は、3Gハイスピード(HSDPA)対応エリアの整備、携帯電話画面の大型化、携帯電話の処理能力の向上がいずれも一定水準に達し、PCでなく携帯電話によるインターネット利用が本当の意味で主流になるのが今年であると説明。2008年を「携帯電話のインターネットマシン化元年」と位置付けた。もうひとつの時代の大きな潮流として、世界経済の中心がアメリカから中国へシフトしつつあるとし、中国のインターネットビジネス、ひいてはアジアのインターネットビジネスを制することが重要と主張。「中国をおさえ、ケータイインターネットをおさえた者がナンバーワンのインターネットカンパニーになる」と、今後のソフトバンクグループが目指す方向を示した。

質疑応答では、米Microsoftによる米Yahoo!への買収提案、それをめぐるGoogleの動きなどについて、ソフトバンクとしての考え方や意見を求められていたが、まだ交渉がスタートしたばかりだとして明確なコメントは避けた。また、ここ1年ほどソフトバンク向けの新機種を発表していないNECが、現在新機種を開発中であることを明らかにした。

アイピーモバイルが携帯電話事業への参入を断念したため"空き地"となった2GHz帯については、「TDD(送受信を短時間で切り替えることで上り・下りを同周波数で行う)方式向けの周波数帯だが、我々の既存サービスと干渉するので、手を挙げたくても挙げられない」と話し、モバイルWiMAXなどと携帯電話を組み合わせたサービスが行いにくいため、周波数帯取得に向けて動くつもりはないと説明した。

(詳報は追って別のレポート記事でお伝えします)