米国ラスベガスで開催中のPMA 08の松下電器産業のブースでは、会期直前に発表したコンパクトデジタルカメラを始め、デジタル一眼レフカメラの「LUMIX DMC-L10」や、2008 International CESで出展されたデジタルムービーカメラを出展、注目を集めていた。

松下電器のブース

その中で、国内未発表のデジカメである「DMC-TZ5」が展示されていた。現行のDMC-TZ3の後継にあたるモデルで、28~280mmの光学10倍ライカ DC VARIO-ELMARレンズを搭載。F値はF3.3~F4.9。撮像素子は1/2.33型有効900万画素CCDで、ISO感度は最高でISO6400までをサポートする。

DMC-TZ5。背面に撮影・再生モード切替スイッチが新設されている

本体上部。E.ZOOMボタンが新しい

カラーはシルバー、ブラックに加え、ブルーも用意される

「おまかせiA(インテリジェントオート)モード」を搭載。カメラが被写体の顔や距離などを判別して最適なシーンを自動で判別して設定してくれる。いずれのモデルも光学式手ブレ補正・高感度・動き認識の「トリプルブレ補正」を搭載しており、より簡単に、手軽に撮影できるような機能を搭載している。また、新機能として暗部補正機能も搭載。薄暗い室内で撮影するような場合でも、暗い部分のトーンを持ち上げて明るく補正してくれるようになった。このため、より見栄えのする写真が簡単に撮影できるようになった。

背面には3型46万画素の液晶を備え、720p・30fpsのHD動画の撮影機能も搭載。27MBのメモリを内蔵し、バッテリ駆動時間は約300枚(CIPA準拠)。米国では3月の発売で349.95ドル。ちなみに米国では画素数が810万画素に抑えられたTZ4も発売される。こちらの価格は299.95ドル。ブースでは、TZ5に関しては「たぶん日本でも売る」というコメントだった。

ほかにも、日本でも発表された「DMC-LS80」「DMC-LZ10」「DMC-FX35」「DMC-FS3」も出展。乾電池対応の光学3倍ズーム機LS80や、同じく乾電池対応で広角30mmスタートの光学5倍ズーム搭載・マニュアル操作可能なLZ10、薄さ22.5mmのスリムサイズで光学3倍ズームを搭載したFS3の3モデルは、LS80をのぞいておまかせiAモードを搭載。全モデルがトリプルブレ補正を備える。

さらに注目はFX35だ。おまかせiAモードは、「i人物」「iマクロ」「i風景」「i夜景」「i夜景&人物」の5つのモードに加え、「標準(動き認識)」の中からシーンを自動判別するが、TZ5と同様に新たに暗部補正機能を搭載する。

25mmスタートの広角レンズを搭載しながらコンパクトサイズを実現したFX35

背面をみると、これまでモードダイヤルにあった再生モードへの切り替えがスイッチに変更になっている

本体上部

FX35の分解モデルも展示

会場では、実際におまかせiAモードのデモをしており、明るい背景の前に人の顔があると、顔検出が行われて露出がコントロールされ、人の顔がきちんと明るく写るように(その代わり背景は白トビ気味に)なり、人がいなくなると再び背景の明るさに合わせて露出をコントロールする、といった動作が実際に確認できるようになっていた。機械で同じデモを繰り返しているのだが、その中でたまにコントロールに失敗することもあり、やはり100%ととはいかないようだった。ただ、認識スピードは特に問題を感じず、ユーザーが意識しなくてもちゃんとした写真が撮れるような仕組みは便利だ。

おまかせiAモードの例。明るい風景に露出が合っているシーン

ここに人のパネルを出すと、そのままでは逆光で顔が暗くなってしまうが、おまかせiAモードでは自動的に顔を検出して顔に露出を合わせてくれる

もう1つの例は、この写真だと分かりづらいのだが、ライトを落として風景を暗くしたところ。左の写真では暗く写ってしまうが、人の顔を認識すると自動的に感度が上がって明るく写る。フラッシュを焚き忘れて暗く写ってしまった、などといった失敗写真を防止してくれる

これもちょっと分かりづらいが、背景の明るさに対して前景が暗く写ってしまう場合に暗部補正が働き、前景がより明るく写るようにしてくれる

最大の特徴が、焦点距離が25mm(35mm判換算時)スタートの光学4倍ズームレンズを搭載した点だ。LUMIXシリーズといえば28mmスタートのレンズを積極的に採用し、コンパクトデジカメの広角の流れを作ったカメラだが、今回、レンズを25mmにさらに広げた。コダック「EasyShare V705」の23mm(ただし23mmは単焦点)やSamsung「NV24HD」の24mmにはわずかに及ばないが、それでもこれまで以上の広角レンズを搭載したのが大きなポイントだ。

従来の28mmのレンズと25mmのレンズの比較。写る範囲がこれだけ違う

しかも24~100mmの光学4倍ライカ DC VARIO-ELMARITレンズを搭載したことで望遠側もきっちりと確保しつつ、新開発の高偏肉比凹メニスカス形状高屈折硝材非球面レンズやEAレンズ(超高屈折硝材)を使うなどしてレンズ性能にも配慮したという。それでありながら本体の厚みも22mmに抑えられており、持ち歩きも容易。実際、従来のLUMIXよりもコンパクトに感じるレベルで、このボディに25mmスタートのズームレンズを搭載したのは見事だ。

撮像素子には1/2.33型有効1,010万画素の)CCDを搭載。画像処理LSIには高画質、高速レスポンス、高感度、省電力の「ヴィーナスエンジンIV」を採用し、ノイズ低減や斜め解像度の向上、ISO6400の対応、動き認識の精度向上などを実現している。顔検出では最大15人までを認識し、AFとAEをコントロール。一度認識するとその顔を追尾する。また、新たに赤目を自動検出して撮影時に補正する「デジタル赤目補正」機能も搭載する。

720pのハイビジョン動画の撮影にも対応するなど高機能で、なおかつコンパクトで25mmの広角レンズ搭載という、充実したスペックを備えている。

そのほかブースに展示されていたのが、今年のCESで初出展した無線LAN内蔵LUMIXのデモ。写真左はCESの時と全く同じものだったが、無線LANモジュールを内蔵したグリップの部分がきちんと覆われた、より完成度の高い外観のモデルも用意されていた。ただし、デモ自体はCESと同じで、プロトタイプという位置づけも変わっていないようだ