韓国政府の情報通信部は、次世代の移動通信方式である「3GPP LTE(Long Term Evolution)」の試作品開発を完了し、テスト通信に成功したと発表した。

停止/移動時での試演に成功

今回の実験に利用されたシステムは、韓国電子通信研究院(ETRI)が主体となって開発したものだ。

30日にETRIで行われた試演会では、停止状態における基地局と端末間のデータ伝送、VoIP、ビデオオンデマンド、Webカメラによる現場中継といったサービスが行われた。また、車両で移動しながらのマルチメディアデータ伝送、基地局間のハンドオーバー実験なども行われ、いずれも成功している。

ETRIでは、韓国が進めている「3G Evolution 無線伝送/端末/アクセスシステム技術開発」の一環として、2005年から2007年の過去3年間にわたり、計445億ウォンの投資を受けて研究開発を進めてきたという。これにより300以上の特許を出願する成果もおさめている。

LTEは第3.9世代(3.9G)、そして新たな周波数帯域を使用する第4世代(4G)の移動体通信方式として、もっとも有力な候補のひとつだ。今後国際標準を制定する動きがあるため、各国・各企業で研究開発が盛んに行われている。その技術を確保することは、韓国にとっても大きな意味を持つ。WiBroの例に見られるように、技術の確保とその海外輸出というのが韓国の大きな狙いだからだ。

4Gを狙い積極的な技術開発

そのため韓国ではLTEに限らず、新たな技術開発に積極的に取り組んでいる。ETRIでは2007年10月に「NoLA(New Nomadic Local Area Wireless Access)」技術の開発にも成功している。

これは停止および低速(3Km/h)での移動時に3.6Gbpsの伝送速度を実現する、低速移動用無線伝送システムだ。8つの多重アンテナを利用したMIMO技術、Multi-Rate LDPC技術、Multi-Gigabit LDPC関連技術、Multi-Gigabpsクラスのスループット提供無線制御技術といった4つの核心技術を基礎として、これだけの高速を実現させた。

ETRIではこの技術も、4G技術として反映させたいとしている。また高速移動時に最大100Mbpsの伝送速度を実現する「NeMA(New Mobile Access)」の開発にも取り組んでおり、2つの規格を連動する技術開発も開発中だ。

今回試演に成功したLTE技術は、韓国政府による4G標準技術開発計画のうちのほんの一部という格好で、今後も活発な研究活動で新たな進展が十分見込まれる。これらの技術は今後開かれていく4G技術制定の場で頭角を現してきそうだ。