エムエスアイコンピュータージャパンが、リテール市場向けマザーボードでは初というEFI(Extensible Firmware Interface)搭載製品「EFINITY」シリーズの開発計画を発表した。今回は、そのEFINITYシリーズの開発サンプル品「P35 Neo3-EFINITY」を特別に入手することができたので、これをちょっと見てみたい。
EFIとは、パソコンのハードウェア制御を行なう、OSとファームウェア間を繋ぐインタフェース仕様のことであり、これまでは主に「BIOS」(Basic Input/Output Interface)がこの役目を担ってきた。
BIOSは過去の16ビットOSを基本として設計されていることから、現代のパソコン環境から見ると、ハードウェア管理の制限などいくつかの課題が叫ばれるようになっていた。そこで、BIOSを置き換えるインタフェース仕様として、現代から将来にかけての環境により適したEFIが提唱されているという経緯がある。
このEFI、Microsoftの64ビットOSなどで採用が進んでいる(Vista 64ビット版もSP1で採用予定)ほか、32ビットのWindows環境でも採用されていくだろうと見られている。最近ではIntelプラットフォームベースのMac(俗に言うIntel Mac)でのEFI搭載が話題になった。一般のコンシューマー・ユーザーにとっても遠い話ではないのだ。
P35 Neo3-EFINITYの概要
あくまでサンプル品ではあるが、そのEFIを実装するマザーボード「P35 Neo3-EFINITY」の概要を紹介しておこう。型番からもわかる通り、チップセットにはIntel P35+ICH9を採用し、ソケットはLGA775と、ハードウェア的にはスタンダードなIntel向けATXマザーボードである。同社の製品らしく、高性能ヒートパイプや日本製固体電解コンデンサの100%採用といった信頼性を高める工夫も盛り込まれている。
対応FSBは1333/1066/800MHz、メモリスロットは4本で、DDR2 1066/800/667MHzのアンバッファDIMMを利用できる(最大容量8GB)。拡張スロットはPCI Express x16×1、x1×1、PCI×4。ストレージはATA133×1、SATA×6で、2ポート利用のSATA RAID(0/1/JBOB)をサポート。ほか、GigabitEthernet、7.1チャンネルHDオーディオなど。なお、次世代のFSB1600MHz/45nm CPUもサポートする予定だという。
ここまではいいとして、それでは肝心のEFIを少し触ってみたいと思う。まずシステムを起動すると、通常のBIOSの時と同様に、起動中に表示されるメッセージに従い[DEL]キーなどを押せばBIOSセッティング画面に入ることができる。
大きく異なるのはここからで、まず表示される画面がカラフル、そしてなによ「マウスで操作が可能」なのである。内部的な難しいことはわからなくても、パッと見のインパクトがあるので進化したというのがわかりやすい。
EFIではグラフィックを多用したメニューを利用できるので、これまでのBIOSのような文字ベースだけでなく、視覚的にわかりやすいメニューを構築し易い。マルチランゲージへの対応も容易なため、マウス操作が可能である点もあいまって、BIOSセッティングに敷居の高さを感じていたユーザーにとっての利点は大きいだろう。
また、EFI上で動作可能な"プレOS"とも呼ばれる簡単なOS機能を搭載でき、ここでLANを使用することも可能だ。プレOSを使えば、例えばWindows OSなどを起動することなく、プレOS上でメディアプレーヤーやゲーム、ブラウザなどの機能を利用できる。P35 Neo3-EFINITYでも実際にいくつかのゲームアプリケーションが提供されており、これを楽しむことができた。
P35 Neo3-EFINITYの付属CDには3つのゲームが入っていた。どれも簡単な造りのサンプルゲームだが、この仕組みならもっと色々できそう |
左の画像だとタイトルが日本語化されていていまいちイメージがわかないので、英語版も。大食い蛇の正体はSnakeというゲーム |
最後にこちらが「ブリックブレーク」のタイトル画面。上2つはシンプルなゲームだったが、これはFPS風の画面でゴージャスな内容が期待できる!? |
と思ったらブロック崩しでした。しかしこれが割と楽しい。ところで、開発サンプルだからなのか"ゲーム"での操作はキーボードのみで、メニュー画面もマウスでは操作できなかった。MSIさん、ここは改善されるんですよね? |
思っていたより便利かも
さて、ここまで簡単ではあるが、EFIを搭載するP35 Neo3-EFINITYを触ってみた。普段は"縁の下の力持ち"として隠れており、使わなくても大きな問題にはならないのだが、自作パソコンを楽しむ上で、使ってみるとより楽しめることが多いというのがBIOSである。普段のちょっとしたセッティングから、トラブル対策、またはオーバークロックしたい! といったハードな要求まで、BIOSをいじれると便利な場面は数多あるのだ。
BIOSのに触れる敷居をさげる改良も期待できるEFIは、いちユーザーにとってのメリットも大きいだろう。ほかにも、LAN/アプリケーションをプレOS上で使用できるというのは工夫次第で様々な用途が想定できる。単純にゲームが遊べるとかも楽しいは楽しいのだが、例えばOSやソフトウェア、ファーム自体のアップデートを、EFI起動の段階で行う仕組みも考えられるなど、可能性は大きい。具体的な発売時期はまだ未定だが、そんな"未来"を体感できる「P35 Neo3-EFINITY」は、登場が待ち遠しい製品だ。