今や誰でも簡単にシミュレーションでヴィンテージの音を手に入れられるようになった。だがヴィンテージサウンドの良さに触れる機会が増えたことで、逆に本物に関心を持つ人が増加しているようだ。そのような声に応える形で、今日のテクノロジを融合させながら本家が復活するケースが増えている。

例えばHammondが出展していた「XK-3c」は、名器B-3のタッチやフィーリングをデジタルで再現したXK-3の久々の進化型だ。プリアンプ/オーバードライブ回路にキャラクターの異なる真空管2本を採用し、ヴィンテージ感のあるトーンと歪みを引き出した。レズリー/ビブラートスキャナーの改良で、Hammond独特の揺らぎを実現。ビブラート/コーラスは上下鍵盤ごとのオン/オフが可能になった。また外部のMIDI機器やソフトシンセをリアルタイムでコントロールできる機能が追加された。

Hammondの「XK-3c」

Rhodesの復活と言われる「Mark 7」は、ハードスティールをモダンな外装で覆ったデザインが目立つ。Mark 5のエレクトロメカニカルな機構をべースに、オリジナルRhodesから続く伝統的なサウンドを再現している。数多くのミュージシャン、キーボード技術者の協力を得て改善されたセンサーテクノロジが個々のキーのわずかな動きを継続的に検出し、演奏の細かなニュアンスを正確にサウンドに反映するそうだ。Mark 5でのMIDI出力に続いて、Mark 7ではUSB MIDIをサポートしており、Windows PCやMacに接続するだけでUSB MIDIデバイスとして認識される。まだ開発段階ということだが、今年の半ばから遅くとも秋の感謝祭までには登場する見通しだという。

Rhodes 「Mark 7 73 A」。スピーカープラットフォームは500/73

Rhodes 「Mark 7 88 AM」。スピーカープラットフォームは1000/88

Moogは、VoyagerをベースにMinimoogを再現したアナログパフォーマンス・シンセサイザー「Voyager Old School」を発表した。タッチスクリーンやプリセット、MIDI機能などが省かれたシンプルなインタフェースで、いかにもオールドスクールという感じだ。その分、Minimoog Voyagerよりも手頃な価格になる。同社はまた、マルチペダル「MP-201」を発表した。インタフェースにMIDI、USB、CV出力×4を装備。オールドスクールと現代のハード/ソフトシンセ、エフェクターを結び、パソコン、DJ機器などを含む統合的なコントロールを可能にする。

「Voyager Old School 」。ピュアアナログ・サウンドとアピール

マルチペダル「MP-201」

Dave SmithはProphet-5の30周年として提供する限定シグネチャーモデルの「Prophet '08」を展示していた。またRoger Linn氏とのコラボレーションによる「LinnDrum II」のプロトタイプも置いて、年内リリースに向けた順調な開発状況をアピールしていた。

「Prophet '08」シグネチャーモデル

「LinnDrum II」のプロトタイプ