マイクロソフトは26日、秋葉原にてWindows Vista発売1周年を記念したユーザーイベント「64ビット時代到来!! 1st Anniversary Windows Vista」を開催した。そのなかで、ライターの高橋敏也氏、笠原一輝氏、後藤弘茂氏がそれぞれトークセッションを行っているのでレポートしよう。

最初に登場した高橋敏也氏は、「64bit時代のメモリの買い方・選び方」というテーマ。32bit Windowsでは最大4GB(実質3GB)となるメモリだが、64bit版Vistaでは4GB超のメモリが搭載可能となる。ただしその際、メモリ量が多くなれば多くなるほど(確率論的に)エラー率は上がる、と指摘。その昔の「エージング」のように、あらかじめ問題箇所をたたき出すような事が有効だろうとのこと。そしてウルトラエックスのメモリ診断ツール「R.S.T. Pro」を用いてメモリのエラーチェックなどを実演した。

高橋敏也氏

また、同氏によるメモリ選びのコツは、バルクに不安を感じる人は保証態勢がしっかりしたリテールを選びましょう、バルクメモリを買う場合は(ショップによって)相性保証がある場合は付けましょう、デュアルチャネルが主流なので2本単位でまとめて買いましょう、とのことだ。

メモリ診断ツール「R.S.T. Pro」のデモも

会場に展示されていた「R.S.T. Pro」。専用拡張カードも付属するプロ向け製品

「R.S.T. Pro」の診断画面

笠原一輝氏のプレゼンテーションは「8GB 積んだら仮想OS」。64bitのメリットを紹介した上で、64bitにネイティブ対応済みかつ現実的にいちばんメリットが大きいアプリケーションとして仮想化ソフトを紹介した。仮想化ソフトで得られるメリットとしては、1台に集約することによる電気代の削減、マルチコアCPUを有効利用できる点、4GB以上のメモリを有効利用できる点、そしてセキュリティリスクの緩和などを挙げた。

笠原一輝氏

現時点で、既にある64bit対応アプリとして仮想化ソフトを紹介

同氏はデスクトップPCを持ち込み、具体的な使い方を紹介。同PCはホストOSにWindows Vista Ultimete 64bit版、ゲストOSにWindows Home Serverを搭載したクアッドコアXeon×2基のシステム。エンコードなどの作業をしながらも、Windows Home Serverの機能を利用できるといった使い方を紹介した。特にライセンスの余ったWindows XPなどを仮想化することで有効利用できるとのこと。最後は、今回紹介した仮想化の他にも「64bit OSにはいろいろな使い方があると思うので、逆に新しい使い方を見つけたらご一報下さい」と述べた。

マルチコアや大容量メモリの有効利用として仮想化ソフトを提案

Windows Vista Ultimete 64bit上で、エンコードソフトを起動、さらに仮想化ソフトからWindows Home Serverを起動するデモ

後藤弘茂氏は、「メモリの2014年までをとりあえず」といったテーマ。まず、CPUのマルチコア化によってメモリ帯域への要求が上がってきていること、また、CPUパフォーマンスに対しメモリの帯域幅が乖離してきていることなどを紹介。そしてメモリのロードマップや、DDR3/DDR4メモリの動向を説明、さらにDDR4メモリについては「Single-ended」と「Differential」という2つの規格についてそれぞれ説明した。

後藤弘茂氏

CPUの処理性能にメモリ帯域が追いついていけなくなってきている現状を紹介

次世代のDDR4では2つの規格に別れるかも、との予想

さらに、自作業界でも値動きの激しいメモリだが、その価格構造についても説明。プロセスやダイサイズ、さらにはコントラクト価格やスポット価格などが複雑に関連していることなどを紹介。ちょうどDDR3への移行期に当たる今、DDR1からDDR2メモリへの移行時を例に、DRAMのチップ容量が新旧の世代で重なることで「容量世代の移行期」が崩れ、そのため遅れているといった現象などを説明した。

プロセス移行やDRAMチップ容量の移行がこれまでの2年から3年へと延びてきていると指摘

DDR1→DDR2移行期には同じチップ容量の新旧世代製品が並び、そのため移行が遅れたと指摘

この3人によるそれぞれのセッションは自作ユーザーからも注目を集めていたようで、終始満員の観客となっていた。

ローランドのDTM構成PC

アイ・オー・データ機器のDDR3メモリを8GB搭載したデモ機

壁面にはショップブランドPCの展示