NTTドコモは24日、米Googleの検索サービスや検索語連動広告の導入、Googleサービスのiモード対応、Googleの携帯電話向けOS「Android」に関する検討などの分野で米Googleと提携すると発表した。Googleとの提携ではライバルのKDDI(au)が先行しているが、ドコモではさらに幅広い分野で提携、「インターネットのモバイル化をより進展させたい」(ドコモ取締役常務執行役員プロダクト&サービス本部長・辻村清行氏)考えだ。

両社による5つの提携分野

今回の提携では、まずiモードのポータルサイト「iMenu」のトップ画面にGoogle検索窓を設置。ユーザーが検索語を入力して検索すると、従来は公式サイトのみの検索結果を表示していたが、今後一般サイトとPC向けサイトの検索結果も表示される。公式サイトの検索は従来通り同じNTTグループであるgooの検索結果だが、一般サイトとPC向けサイトはGoogleの検索結果となり、それが1枚のページで表示されるようになる。

従来の検索による導線(左)と、提携後の導線の違い。iMenuから直接一般サイト・PC向けサイトにもアクセスできるようになる

現状、iモードから各サイトへのアクセスは、iMenuから公式サイトを探す、一般サイトの検索エンジン(15社)を使って一般サイトを検索する、ブックマークなどを利用してアクセスする、といった導線になっているが、今回の提携で「この導線を劇的に変える」(ドコモ執行役員 プロダクト&サービス本部マルチメディアサービス本部長・夏野剛氏)ことが目的で、iMenuから公式サイトや一般サイト、PC向けサイトを問わず一気にアクセスできるようになる。

検索結果のページは縦に長い

結果の最上部には公式サイトの検索結果が表示される。これは従来通り

続いて一般サイトの検索結果が表示される

さらにPCサイトの検索結果も表示

さらに検索結果ページにはGoogleの広告配信プラットフォーム「Google AdWords」の広告が表示されるようになる。Google検索窓をトップページに導入することで検索が増え、広告のクリック数も増えることによる広告収入の増加を見込んでおり、この効果で「100億円」(辻村氏)の広告収入増を早期に達成していきたい考え。

さらに検索結果の合間にはGoogleの検索語連動広告が表示される

サービス連携では、GoogleマップやGmail、YouTubeといったGoogleのサービスをドコモ携帯電話で使いやすいようにしていくことが目的。すでに最新の「FOMA 905iシリーズ」では、N905iとF905iにGoogleマップアプリが導入されていくが、「次期モデルからは全機種に標準搭載したい」(夏野氏)考え。ドコモ携帯には従来からも地図アプリが用意されてきたが、こうしたアプリは特にナビゲーション機能に優れるなど日本のニーズにあった進化をしており、併存して使われるというのが夏野氏の見方だ。

その他のサービスに関しては、FOMAの次期モデルでFlash Videoに対応し、動画共有のYouTubeを視聴できるようにする。会見ではほかにメールサービスのGmail、オンラインアルバムのPicasa、オンラインカレンダーのGoogleカレンダーが例として挙げられており、たとえばGmailアプリを導入し、チャット機能を携帯でも利用できるようにする、オフラインでもGmailのメールを読めるようにする、などといったさまざまな対応を検討していくという。

検討されているGoogleのサービス。これ以外のサービスや、今後新規に立ち上がるGoogleのサービスとの連動も検討している

具体的にどのサービスを対応させるか、アプリにするかWebインタフェースにするか、といったことは明らかにされていないが、よりiモードで使いやすいようなサービス・インタフェースを構築していくことが狙いだ。また、たとえば地名を検索した場合に、検索結果のページから直接Googleマップアプリで該当する地域の地図を表示する、といった検索サービスとのシームレスな連携も視野に入れている。

検索結果とGoogleマップのシームレスな連携も視野に

Googleの携帯向けOS「Android」採用端末に関しても具体的な検討に入る。Androidは無償のOSで、プラットフォーム共通化による開発コストの低減や、Googleサービスとの緊密な連携などが期待でき、ドコモではiモード対応のAndroid端末の開発を検討していく意向。夏野氏はAndroid搭載端末のプロトタイプについて「よいデキ」と前向きにコメントしているが、現時点で明確にAndroid搭載端末をリリースするとは明言されなかった。

Android採用端末も具体的に検討する

ドコモが電通とともに設立したモバイル向け広告会社ディーツーコミュニケーションズ(D2C)を加えた3社でモバイルマーケティングに関する新たな検討も行う。これまでのGoogleのAdwords、Adsense、iモードのiMenu広告、バナー広告、Gガイドといった両者のモバイルマーケティングの強みを組み合わせ、新たなマーケティングを実現していくことが目的だ。

辻村氏は、「インターネットがモバイル化、携帯化している」と指摘。実生活と密接にかかわる携帯とインターネットがより密接になり、さらに携帯がブロードバンド化、グローバル化していく中で、今回の提携によりインターネットの携帯化をさらに推進したいと意気込む。

GoogleのOmid Kordestani業務開発兼国際営業担当上級副社長は「パソコンと携帯の境界線がどんどんなくなっていく」と話し、「モバイルインターネットの生みの親」であるドコモとの提携によるサービスの拡大に歓迎の意向を示す。グーグル(日本法人)の村上憲郎社長も「日本はモバイル市場でもっとも先行的で先進的なユーザーもいる」という米Google CEOのEric Schmidt氏の言葉を引き合いに出しつつ、「日本におけるモバイルビジネスは(Googleにとって)重要で、ドコモとの提携はGoogleのモバイル戦略にとってきわめて重要」と強調。「今後日本のモバイルの新しい展開に注力していく」と話した。

写真左からドコモ・夏野剛氏、米Google・Omid Kordestani氏、ドコモ・辻村清行氏、グーグル・村上憲郎氏