日本AMDは、メインストリーム~ローエンドに向けた新GPU「Radeon HD 3600/3400シリーズ」を発表した。両製品とも、DirectX 10.1をサポート、PCI Express 2.0に対応し、拡張UVD(Enhanced UVD)機能を搭載し、次世代のHDディスプレイコネクタ規格であるDisplayPortをサポートする。また、搭載するストリームプロセッサ数は、それぞれ同セグメントの2000シリーズと同等数、製造プロセスは2000シリーズの65nmに対し3000シリーズでは55nmとなる。
Radeon HD 3600番台には「Radeon HD 3650」をラインナップ。このRadeon HD 3650は、GPUエンジンクロックが725MHz、メモリ接続バス幅は128bitといった仕様。ただし搭載するメモリ別にGDDR3版とDDR2版があり、GDDR3版は800MHz(データレート:1.6GHz)で容量が256MB、DDR2版は500MHz(データレート:1.0GHz)で容量が256/512/1024MBと3タイプあり、ひとつの名前で従来製品のXT・PROの両セグメントをカバーする。また、消費電力は75W以下で、電力管理機能のATI PowerPlayも搭載する。
同社では、Radeon HD 3650(GDDR3)の価格帯を99ドル前後と想定。その99ドルを当てはめた競合製品としてGeForce 8600 GT DDR2版との性能比較も紹介している。同社の示すグラフでは各種のテストでライバル比105%~170%ほどとされ、Radeon HD 3650の価格対性能をアピールしている。
Radeon HD 3400シリーズには、「Radeon HD 3470」と「同3450」がラインナップされる。55ドルラインを境に、上がDDR3メモリを採用するRadeon HD 3470、下がDDR2メモリを採用するRadeon HD 3450となる。Radeon HD 3470は、GPUエンジンクロックが800MHz、メモリは950MHz(データレート:1.9GHz)、Radeon HD 3450はGPUエンジンクロックが600MHz、メモリは500MHz(データレート:1.0GHz)、共通するところではメモリ容量が256MB、Hybrid CrossFireへの対応や、ATI PowerPlayの対応など。
製品名 | Radeon HD 3650 | 3650(DDR2) | 3470 | 3450 |
---|---|---|---|---|
Streaming Processors | 120 | ← | 40 | ← |
製造プロセスルール | 55nm | ← | ← | ← |
コアクロック | 725MHz | ← | 800MHz | 600MHz |
メモリタイプ | GDDR3 | DDR2 | GDDR3 | DDR2 |
メモリクロック | 800MHz | 500MHz | 950MHz | 500MHz |
メモリバス幅 | 128bit | ← | 64bit | ← |
DirectX対応 | DirectX 10.1 | ← | ← | ← |
Hybrid CrossFire | × | × | ○ | ○ |
ATI PowerPlay | ○ | ○ | ○ | ○ |
また、Radeon HD 3600/3400シリーズが一部で対応するものとして「Hybrid Graphics Technology」の紹介があった。Hybrid Graphicsは、グラフィック統合チップセット「AMD 780G」とディスクリートグラフィックスカードの組み合わせることで3D性能の向上、3D負荷の低い際は内蔵グラフィックのみを用いる低消費電力、マルチモニタ環境を実現するものとされる。3D性能の向上に用いる場合、これは内蔵グラフィックと拡張グラフィックスカードによるCrossFireというイメージ。そのため、拡張グラフィックスカードのパフォーマンスが内蔵グラフィックと比べずば抜けて高い場合には効果は薄く、あるいはボトルネックが生じるため、今回の3000シリーズでも内蔵グラフィックパフォーマンスに近いRadeon HD 3400シリーズのみがサポートする。そして資料によればおおむね1.8倍の3Dパフォーマンスとなるようだ。
そして、製品説明の当日、未発表GPUによるリアルタイムHDレンダリングのデモンストレーションが行われた。映画のようなリアリスティックなシーンをレンダリングする場合、これまでであれば大規模なコンピュータを使い何時間もの時間を1シーンに要していたものを、一般的なコンピュータとRadeon HD 3000シリーズの組み合わせによってリアルタイムにレンダリングしてしまおうというものだ。1台のPC内でこの技術を使うことも可能とされるが、今回のデモは、米国にあるPCからデータを呼び出し、会場にある同スペックのPCにてレンダリングを行っているとされる。
データを呼び出しているだけであるため、会場のPCからカメラやオブジェクトを自由に操作でき、自由に効果を加えることができる。なお、この際大量のデータが必要となるはずであるが、同社の説明によれば、Radeon HD 3000シリーズの搭載するTesselatorにより、データ量を抑えることが可能となったと言う。従来までの映画製作技法と比べ、時間を大幅に短縮できたことで、映画会社は何度でも納得のいくまで作り込みが出来るようになる。実際にこの技術は米国の映画会社で採用されているとされ、会場ではスパイダーマンやトランスフォーマーのシーンがレンダリングされた。